就職活動に履歴書は必須である。
僕はつい最近、この一大プロジェクトに着手したのだが、人生で初めての経験に手が震えた。
しかしながら書き上がった成果物がなかなかの出来栄えであったので、皆さんにも是非ご覧いただきたい。
珍妙。
実に珍妙な経歴の持ち主。
バスケット業界の人間でもない限り、こんなもん持ってこられたら担当者は混乱するに違いない。
事実、これを受け取った面接官は明らかな戸惑いを示し、「・・・すごいですね」とただ一言コメントするに留め、履歴書を脇に追いやった。
ちなみにこの会社は不採用となり、続く一社にいたっては書類選考を通過しなかった。
働くって大変。
履歴書に向かいながら感受した二つの思いがある。
Wikipediaに経歴載ってて助かった。
けっこう移籍してきたな。
一つ一つ、チーム名を書き上げる度にその土地での生活が思い起こされる。
ただ面接に落ちて以降は失意のどん底に叩き落とされたため、単純作業に成り下がり文字の羅列にしか見えなかったが。
複数のチームを渡り歩いてきて良かったか、それとも一つのチームに居続けるべきだったか。
この問いに対する答えは実に明確である。
「わからん」、これに尽きる。
移籍を繰り返し、一つところに留まることをしなかった僕にとって、そうではなかった自分が今どうなっていたかを知る術は存在しない。
移籍をしなかった世界線に存在する僕は今の僕よりも幸せだろうか。
もっと上手くなりたくてチームを飛び出したものの、もしかしたら前の場所にいた方がずっとレベルの高い選手になっていた可能性だってある。
どちらの選択をしたところで嫌なこともあれば嬉しいこともある。
個人差や運にもよるところが大きいので、一概に「移籍した方が・・・」と主張するのは難しい。
一つ、移籍にまつわるリスクのようなものを紹介するとすれば、なかなかチームが決まらないことがある、というものだ。
交渉ごとを進めるにあたって、タイミングや条件が整わなければなかなか合意には至らなかったりする。
だがそれ以前に、必要とされていない場所に自分を売り出して認めてもらおうなどという無謀は、とにかく困難を極める。
随分と昔の話で恐縮だが、僕の場合はこの無謀を強引に押し進めた結果、ニートとして生きる日々を甘んじて受け入れた期間がそこそこある。
自宅を警備し続ける生活は実に有意義なものだったが、先行きの不透明さは徐々に精神を蝕んでいった。
拠り所のない不安が大きく途方に暮れている頃、幸運にも日本代表に選出された。
「日本を代表するニート」の爆誕である。
さらにあろうことか、キャプテンなどという栄誉ある役職を賜ってしまったため、「ニート日本代表キャプテン」の称号まで手に入れてしまった。
恐らくここまで子供に夢を与えづらいプロスポーツ選手もなかなかいなかったのではなかろうか。
将来の夢をテーマにした小学校の作文において、「ニート日本代表」と声高らかに宣言された御子息のお母様。
いらっしゃいましたら石崎までご一報ください。