オープニングゲームを制したのはアルバルク東京だった。
川崎ブレイブサンダースも序盤からインテンシティの高いディフェンスを見せていた。
ただインテンシティを誇ることではA東京のほうに一日の長があるようだ。
高いインテンシティに対抗する術も心得ている。
試合後、ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチが認めたように、川崎の前半の得点を22点に抑え込んだことが勝敗を分けた。
第2Qだけを切り取れば、川崎がたったの6点しか取れていない。
攻撃力に定評のある、あの川崎が、である。
川崎の後半の得点が57点だったことを考えても、やはり勝負の分かれ目は前半、特に第2Qだったように思える。
まだ前半じゃないか。
十分に取り戻せるチャンスはあったはずさ。
そう思う向きもあるだろう。
でも前半からうっすらと感じていたのはA東京の余裕だった。
そんなわけないだろう。
相手は川崎だぞ。
こちとら必死でっせ!
A東京ベンチからはそんな言葉も飛んできそうである。
たしかにそうなのだけど、やはりA東京がしっかりゲームをコントロールしていくんだろうな、という感覚は後半に入っても消えなかった。
悪い流れになることもある。ただ竹内譲次が前半とは異なる働きをしてきた。
安藤誓哉はさらにギアを上げたようにも見えた。
タイムアウトのタイミングも絶妙だった。
川崎のファウルトラブルもまた、A東京には追い風だったかもしれない。
川崎の反撃も素晴らしかった。
第2Qで感じられた詰めの甘さが、プロとしての責任で払拭されてきたようにも思えた。
あと10分あれば……
藤井祐眞がファウルアウトしなければ……
なんて言ってはいけないんだろう。
それもまたゲームだからである。
開幕戦と侮るなかれ。
この1勝、もしくは1敗があとで大きく響く可能性だってある。
安藤がこんなことも言っていた。
「僕らの仕上がりは未知数です。まだまだ成長できます。合流していない外国籍選手ともケミストリーを構築できれば、もっと強いチームになれる。そういう期待はあります」
慣れない試合後のZOOMを使った記者会見。
その言葉がやけに鮮明に残った。
そんなことも含めて、見応え、聞き応えのあるオープニングゲームだった。
文 三上太
写真提供 B.LEAGUE