辻「このままじゃダメだと思ったし『何に気を遣ってるんだろう』と我に戻り、思い切ってプレイしたらそれが上手く行ったので、そこからようやく自分を取り戻した感じです」
改心した直後、11月に入るや否やレバンガ北海道戦では26点を挙げ、得意の3Pシュートを6本沈めた。
辻「あの結果は思い切ってやれている証拠だと思います。3Pシュートもそうですが、今は2点を積極的に打っていこうという課題を持って取り組んでいます。まだまだ決められていませんがタイミングを見つける部分では重要であり、良い感じで打ててはいますので、あとは決めるだけです」
ー 開幕からの不調は2年目のジンクス通りスカウティングされてるのが大きいのか、それとも自身の気持ちの問題か?
辻「それは気持ちの問題であり、100%自分自身の責任です。どうしても気を遣ってプレイしてしまうことがあります。日本代表でもどこか気を遣ってしまっていて、自分のプレイを出せたのが最後の最後でようやくでした。そこは克服していかないといけないことは自分でも分かっています」
ー 今シーズンは54試合に増え、開幕1ヶ月で復調できたのは幸いだったのでは?
辻「悩んでた時も『慌てる時期ではない。まずはできることをやろう』と自分自身に言い聞かせていました。あとは自信を持ってプレイし、もっとプレイの幅も広げていきたいです」
ー プレイの幅を広げる意味でも、やはり昨シーズンから取り組んでおり、日本代表でも任されたPGも視野に入れているか?
辻「これまではシーズン当初に迷いもあり、まずは自分の役割を見出すことに必死になっていました。PGのことは考えず、チームの役割に徹することを第一に考えてプレイして来た中で、最近は良い結果として出て来ています。それにより少し余裕も出て来ましたので、PG陣を助けることを考えても今後は少しずつPGのプレイも出して行きたいです」
ー よく「バテた」と言ってるが、シーズンが長くなったことで心配はないか?
辻「毎週毎週同じことをやり続けるだけ。自分なりにはしっかり調整して行きたいですけど、どうなるかは分からないです。でも今は不安には感じていませんし、目先のことしか考えていません」
ファジーカスの活躍、そして辻の復調もあり、首位決戦となった11月9日-10日のトヨタ自動車アルバルク東京戦は2連勝し、4ゲーム差をつけて首位に立っている。その好調さとともにコートに立つ選手も、ベンチで騒ぐ選手も、チーム一丸となって戦っている感じが伝わって来た。
辻「昨年よりも選手層は厚くなったと思うし、一人一人の役割がコートで出せればトヨタ東京戦のような試合になるし、問題は無いです」
昨シーズン、ファイナルで敗れたことがモチベーション
再び、ファジーカスへの質問に戻る。
ー 昨シーズン、ファイナルで敗れた悔しさがモチベーションとなっているのではないか?
ファジーカス「もちろん負けたこと自体がモチベーションになっています。今シーズンは長く54試合ありますが、昨シーズンのリベンジのため、そして最終的な目標である優勝に向かって、一つひとつしっかり戦っています」
ー 優勝へ向けてやるべきこととは?
ファジーカス「今はチームの調子が良く首位にいられますが、現時点でピークに持って行く必要は全くありません。シーズン終盤、そしてプレーオフへ向けてピークに持って行けるように、もっともっとレベルを高めていかなければならないです。もちろん毎試合負けたくはない気持ちでプレイは続けています。そして試合を重ねる毎にどんどんレベルアップしていき、シーズン終盤に最高の状態で戦えるようにできるようにしていきたいです」
東芝神奈川にはもう一人、2年目を迎えた長谷川技もいる。11月10日のトヨタ東京戦の2Q、大西崇範が次々と3Pシュートを決め点差を開き始めた時、さらにダメ押しとなる3Pシュートを決めたのが長谷川だった。北HCは長谷川への期待とともに、その時の裏話を語り始めた。
「ハセ(長谷川)は力を持っているが、その力を出してくれるかどうかが今は課題であり、遠慮しがちな選手。昨日(11月9日)もプレッシャーディフェンスに対して逃げているところがある。今日は宇田(康利)を使っていたのですが、途中でコンタクトが取れてしまったこともあり、ハセに代えたら決めてくれた。ラッキーでしたね(笑)」
プレイタイムを与えられ始めた長谷川も、ルーキーの鎌田裕也もスタッツを残し始めている、NBLファーストチャンピオンとして歴史に名を残すためにも、東芝神奈川はCHALLENGE〜“Thunder up”というチームスローガン通り、一丸となってチャレンジし続けている。
NBL
東芝ブレイブサンダース神奈川
文・泉誠一