マーク あの特集号の表紙にもなっていた伊藤達哉(京都ハンナリーズ)や寺園脩斗(三遠ネオフェニックス)といった小さくて、ちょっとかき回す系のガードは見ていて爽快だし、必然的に人気が出るんじゃないでしょうか。大きな選手とスイッチして外国籍選手と1対1になってそこで決めるっていうのはハイライトとしてもすごくインパクトがありますよね。スターって実力以上に人気があってもいいんです。むしろそれは必要なこと。その意味ではこの2人にはスターになる要素があるし、スターになってほしいと思いますね。
平 僕はあえて誰とは言いませんが、絶対的に必要なのは観客を盛り上げる存在であることだと思います。代表戦を見ていても渡邊、八村というアメリカ組はいいプレーのあと吠えたり、観客を煽ったりして場内を盛り上げてますよね。それがあたりまえになってる。逆に日本ではすごいプレーをしても何事もなかったように去っていく選手が多くていつも物足りなさを感じます。自分のプレーをもっとアピールしてほしいし、そうやって観客を巻き込んでこそスターになり得るんじゃないかと思います。
入江 スターになり得る選手…うーん、難しいですけど、今シーズンを見た限りでは並里(成・琉球ゴールデンキングス)に可能性を感じますね。彼が琉球に戻ると聞いたとき、佐々(宜央)ヘッドコーチがどんな使い方をするのか興味があったんですけど、蓋を開けたらのびのびと自由にプレーさせていて、とてもおもしろい。もともと地元(沖縄)のスターですからね。彼が入ったことでブースターさんの盛り上がりも違うと思いますよ。
山上 そういう意味では“地元のスター”の存在も見逃せませんね。
入江 そのとおりです。今回富山に来て感じたのは馬場選手(富山市出身)の人気がすごいってこと。同じように富山グラウジーズも人気ありますよねえ。テレビを見てたら「あれ、こんなにバスケのニュースやってるの?」とびっくりしたし、代表戦のCMも流れてて、なんかすごく新鮮でした。
平 コンビニにスポーツ誌が置いてあって、表紙は(富山出身の)馬場と八村でしたもんね。
入江 東京にいたらわからないローカルヒーローは富山に限らずその地方、地方にいると思います。さっき言った並里選手にしろ地元に戻った五十嵐選手(圭・新潟アルビレックスBB)にしろ大正解なんじゃないかな。
マーク NBAだと選手が地元アピールする場面をよく見ますね。「今度地元に帰ります」とか、地元にいなくてもところどころで地元をアピールするみたいな。
秋元 僕は東京にいても結構“隠れファン”っていうのはいると思うんですよ。みんな帰属意識があって、地元の祭りには帰りたいとか。そういう人たちの背中を誰かが押して、会場に足を運んでもらう。そこでまた見に来たいと思う選手が見つかったらシメたもんです(笑)。バスケ人気も俄然違ってくる気がします。
丸山 ですよね。僕は今回の代表戦はせっかく富山開催なのだから宇都選手(直輝・富山グラウジーズ)を入れてもよかったんじゃないかなあと思ってます。
秋元 それ、同感。まあチーム事情もあるでしょうが、この2連戦だけでも宇都選手を入れてほしかった。
入江 僕も同じことを思いました。スターの要素としては海外組の方が可能性が高いのは確かでしょうが、それとは別に地方が推すローカルスターがいるのは楽しい。その選手が代表戦に出場するとなれば絶対盛り上がるのになあって。
構成・文 松原貴実
写真 吉田宗彦、安井麻実、三上太