最近はどの業界の方とお会いしても、「バスケはどうなっちゃんですかね?」というのが挨拶のようになっている。話せば話すほど気持ちは重たくなり、会場へ向かう足取りも重い。1ヶ月ぶりにホームゲームを行う東芝ブレイブサンダース神奈川が、三菱電機ダイヤモンドドルフィンズ名古屋を迎え、初の交流戦を行った12月5日(金)。試合が始まると東芝神奈川が一気に点差を開き、1Qが終わって30-9。この時点では、会場に来たことに対し、後悔の念に苛まれていた。
フルコートプレスを仕掛けた諦めない姿勢
チーム数が増え、東西カンファレンスに分かれたことで、昨シーズンは29勝25敗だった三菱電機名古屋。JBL2007-2008シーズン以来となる勝率5割を越え、プレイオフに進んだ。新規プロチームが多い西地区だっただけに、勝ち星を拾えたという見え方もあり、ドアマットチームの印象はまだ拭えない。
NBLユタ・ジャズのアシスタントコーチに就任したアントニオ・ラングに代わって、今シーズンからスペイン人のトリフォン・ポック ロペズHCが指揮を執る。チームに求めるスタイルを伺ってみると、散々な試合結果の後ということもあり、「単にバスケットボールチームを創りに来ただけであり、今日のような試合はいらない」とお怒りモード。
前半は47-30、17点差を追いかける三菱電機名古屋。しかし後半に入るとフルコートプレスディフェンスを仕掛け、少しずつ点差を詰めていく。諦めずに戦う姿勢を対し、前半までの虚無感は晴れていった。
4Q残り7’33、69-58と11点差まで詰めたのだが、その後の東芝神奈川は憎らしいほどタフショットも厭わずシュートを決めまくる。4Qだけを見るとフィールドゴール58.8%、3Pシュート50%、フリースロー100%と高確率でネットを揺らし、90-75と15点差で試合終了。三菱電機名古屋は立ち上がりの失点が悔やまれる結果となった。
大きな転換期
「ヘッドコーチが変わったことが一番大きいです。昨年まで長く続いていた三菱電機名古屋らしさが大きく変わったことであり、チームの歴史を振り返っても大きな転換期と言える事象だと思います」
昨シーズン、チームに移籍してきた伊藤俊亮選手は、敵チームとして対戦して来た経験を踏まえながら、チームの変化を語ってくれた。怒れるヘッドコーチは言葉少なめだっただけに、あらためて伊藤選手にチームのスタイルを聞いてみよう。東芝神奈川の決定力が高い試合であったことが一つの要因かもしれないが、スピードスター五十嵐圭選手を擁しながらセットオフェンスがこの日は多かった。それが、ポックHCが求めるスタイルなのか。
「早い展開を目指してはいます。今日は相手にシュートをしっかり決められてしまったことで、なかなかブレイクが出せない状況でした。そのため、余計にセットオフェンスばかりになってしまい、重たい展開になってしまった。アマット(ウンバイ)はリバウンドを獲ってそのままブレイクに持っていける能力があり、僕も含めてインサイド陣がしっかり真ん中を走っていき、それに合わせてガード陣が展開するプレイが本来の狙い所です」