土曜日の初戦が全て
小菅選手は、5千人を収容した朱鷺メッセを使用していた頃の新潟アルビレックスBBに在籍。2007-2008オールスターでは、その朱鷺メッセでMVPを獲得した。移籍した琉球はすでにお伝えした通り、日本最高の集客数を誇っており、キャリアを通じて多くのブースターに支えられている。
「やっぱりホームで試合ができることはいつでもありがたいことですし、幸せなことです。新潟も沖縄も、会場にはものすごい数のブースターが集まってくれます。そして、自分たちの背中をプッシュしてくれますので、このような環境でプレイできることを本当に感謝しています。だからこそ、ブースターの方たちのためにも結果を出したいと日々思っています」
同じ轍を踏まないことが、昨シーズンの悪夢を払拭できる唯一の手段である。
「体を休めつつもゲームモードを崩さずにして臨みたいです。やっぱり土曜日の初戦が全てだと思うので、そこに全力を賭けて戦えるように準備します」
近々に行われた4月20日の高松ファイブアローズ戦は59-62で敗れた。今週末、浜松・東三河フェニックスとのアウェイゲームがラストゲーム。イースタンカンファレンスの頂点で待つ1週間を充実した日々にするためにも、大事な試合となる。
日本代表を目指さないとダメでしょ!
bjリーガーに取材する時は、『日本代表を目指しているか』と聞くようにしている。bjリーグから選ばれない時期はあったが、今は違う。浜松のビッグマン太田 敦也選手は日本代表の一人だ。また、新たに日本代表を指揮する長谷川健志ヘッドコーチは、今一番見たい選手は?という記者からの質問に対し、「bjリーグの選手たち」と即答。外国人の出場枠がNBLより多いbjリーグだからこそ、プロになってから成長できている選手はいるはずであり、その環境で揉まれていることに対して自信を持っているとさえ思っていた。しかし、実際にこの質問を向けると「意識したことがない」「僕なんかが…」という答えが多い。
3月で32歳を迎えた小菅選手にも、最後に同じ質問を投げかけた。
「プロバスケット選手になった時から日本代表は目指していますし、32歳のおっさんになった今でも変わりません。日本代表に選ばれないのは、単純に自分の技術が足りないだけの話。現役である限りは技術を磨いて行きたいし、日本代表を追い求めて行きたいです」
あまりにうれしくて、思わず握手を求めてしまった。そして、これまでの多くのbjリーガーはネガティブな意見が多かったことを打ち明ける。すると、さらなる前向きな答えが返ってきた。
「どうせやるならば日本代表を目指さないとダメでしょ。僕は新潟でプロとしてのキャリアを始めたときからその思いを持って常にプレイしていますし、今でもそれは変わってません」
日本代表がアジアでも勝てないと嘆くならば、自分の力で変えてやるという強い気持ちと高い志を持った選手が増えて欲しいと願っている。その気持ちと行動こそが日本のレベルアップとなり、這い上がる原動力となるはずだ。
アジアの戦いを見れば、身長はさほど関係なく、ましてや経歴なんて誰も知りはしない。選手が掲げる目標が高いからこそ、周りにいる人たちは共感し、応援したくなるものだ。ブースターが選手たちの背中を押しているが、見方を変えれば、大きな夢を持って羽ばたくその背中に一緒に乗せてもらっているとも考えられる。日本最高のブースターを乗せられるだけの大きな背中で、王座奪還を目指す。
ウエスタンカンファレンス セミファイナル
5月10日(土)12:30 琉球 vs 浜松@沖縄市体育館
5月11日(日)12:30 琉球 vs 浜松@沖縄市体育館
琉球ゴールデンキングス
bjリーグ
泉誠一