「システムが出来上がっている中での途中合流がすごく難しいことだというのはわかっていて、そこにアジャストしていかないといけない」と言うように、再加入を喜んでばかりもいられない状況であることは百も承知だ。しかしながら、長崎がクラブ創設当初から掲げている “HAS IT” というコンセプトを理解していることはアギラールの強み。伊藤拓摩GMを筆頭に、長崎ヴェルカというクラブに携わる全ての人がその理想を追求してきたことによって栄光がもたらされたということを、アギラールは知っているのだ。

「チームを作る上で、HAS ITというフレーズをGMやコーチ全員が大事にしているのを感じますし、新しく入ってきた人にも伝えている。それは練習から作り上げられているものでもあるので、しっかり今に繋げられているんだなと思います。選手だけでなく、組織全体もファンも全員がHAS ITの元で成長していて、それがチームを昨シーズンの優勝という結果に導いてくれたのだと思っています」
そんなアギラールにとって、長崎のB1昇格に立ち会えたことは誇りだ。そのシーズンは、アギラール自身が負傷で一時戦列を離れていたということもあり、チームとしてもいくつかの困難に直面し、最終的にB2優勝は叶わなかった。それでも、長崎が最短ルートでB1にたどり着いたことは事実であり、それに貢献できたという自負もアギラールにはある。
「優勝することもすごく大事なことですが、長いシーズンには良いときもあればそうでないときもある。そのプロセスの中で積み重ねたものがあって、シーズン当初に掲げたB1昇格という目標をしっかり達成できたことが、自分にとって意味のあることでした。やっぱり自分にとっては勝つことが一番で、スタッツにこだわるよりもチームが勝つことにフォーカスして、それがB1昇格という結果に結びついたことが本当に良かったと思っています」
この先、ミッチェルが戦列に戻ってくるとなった場合は、アギラールがそこで役目を終える可能性が高い。ミッチェルの負傷が全治4週間と発表されていることを考えると、その時は近いうちに訪れるかもしれないが、もちろんアギラール自身もそのことはわかっている。決して長くはないであろう時間の中で、アギラールは長崎のためにどんな仕事も引き受けるつもりだ。

「チームに対して自分ができることは全てやっていきたい。途中合流という難しい状況でも、その中で一番良い結果を一つずつ残していくことが目標ですし、今はあまり練習ができないので、練習を通じてお互いを知り得ない中では試合をしながら合わせていかないといけないというのも難しいことですが、どんな状況であっても、自分はここにいる間は自分にできるベストを尽くしていきたいと思っています」
文 吉川哲彦
写真 B.LEAGUE











