「宮田(諭)さんも選手登録しましたけど、1年目からいるのはベンチにいる選手だと僕とブラだけ。ブラとそういう話はしないですけど、僕の中ではやっぱり『自分がやらなきゃ』という想いは強いですね。長くいて、チームのカルチャーもよくわかってるし、自分が声を出したり、プレーで示さなきゃいけないと思ってます」
チームのカルチャーというのは、プレー面でいえばハードにディフェンスすることがその筆頭に挙げられる。それは初代指揮官の早水将希ヘッドコーチ時代から受け継がれているものであり、「オフェンスよりディフェンスのほうに重きを置いてる」と自負する川島はそのバスケットスタイルを最も体現する選手だ。1試合平均スティールは常にリーグのランキング上位に位置し、昨シーズンはわずかに及ばず個人タイトルを逃したが、今シーズンは現時点で1位。このしながわシティ戦GAME2も、シーズンハイに並ぶ6スティールをマークしている。

「どっちかというとチームでディフェンスを頑張って最後に僕がスティールしてるだけなので、チームのコンセプトにちょうどマッチしたのかなという感じですね。スティールからレイアップというのが、チームのバロメーターじゃないですけど、チームが乗るきっかけの一つだと思うので、それを僕が率先してやっていければと思います。ランキングは意識するとやっぱり良くないんですよね、突然できなくなっちゃうんで(笑)」
東京Uは、中央区立総合スポーツセンターでの初開催となったこの第13節が年内最後のホームゲームだった。年末年始を挟むということもあり、次のホームゲームは1カ月以上先になるが、開幕以来今シーズン2度目となる有明アリーナメイン開催だ。B3でありながら観客動員が1万人を超えたこともあるが、川島にとってはプロになったという実感をより強く持てる出来事だった。
「あれは凄かったっすね! 8000とか9000でも凄いって思うんですけど、1万人って本当に歓声が地響きみたいになるので、あれはプレーしてて気持ちいいです。アマチュアのときは全国大会(全日本社会人選手権に福島教員Aチームの一員として出場)の決勝で0人っていうのがありましたからね。決勝なのに0人ですよ?(笑) そういうのを経験してるので、こんな大勢の人の前でバスケットできるんだっていう嬉しさは凄かったです。緊張はなくて、高揚のほうが大きかったですね」
プロになっただけでなく、チームの主力としてプレーし、大きなアリーナのコートに立つこともできている。白黒がはっきりと分かれる勝負の世界は必ずしも良いことばかりではなく、昨シーズンは悔しさも味わったが、志を持ってバスケットに取り組むことができる今を、川島は存分に楽しんでいるところだ。

「充実感はすごくありますね。うちはみんなが一生懸命やって結果を出すチームで、その中で僕の役割は点を取ることもあったり、点が取れなくてもオフェンスの起点になったり、ディフェンスのアグレッシブさでチームを鼓舞していくことだと思うので、やりがいはすごくあって毎日楽しくやってます。僕はこのチームでプロになったので、このチームが成長するとともに僕も成長して、チームが強くなっていくところに関われていけたらと思います」
メインアリーナでの試合をモチベーションとし、「そこに良い状態で入れれば、まだまだプレーオフも十分いける。僕らも諦めてるわけじゃないですし、現状に満足してる奴なんて1人もいないと思うので」と反転攻勢を誓う川島。その存在感は、這い上がろうとする東京Uに決して欠かすことができない。
文・写真 吉川哲彦











