シューターとしてのメンタリティー
「3ポイントシュートを自分の武器にしようと考え始めたのは1年の終わりくらいかな。中学のときの自分はどちらかと言えばドライブが多くってフローターなんかも結構上手かったんですよ。でも、高校に入るとめちゃくちゃマークがきつくなって簡単に中に入って行けなくなったんです。もともとドリブルの技術がそう高かったわけではなく、相手のタフなディフェンスをかいくぐって得点することに難しさを感じるようになりました。じゃあ自分がもっと効率よく点を取るにはどうしたらいいのかを考えたとき3ポイントがいいんじゃないかと思ったわけです」
そこからはひたすら練習。1日500本インを目標とし、朝練で200本、チーム練習後の自主練で300本打つようにした。
「これを毎日続けていくと必然的にシュート力がついてきます。よくシューターは才能?センス?練習?と聞かれますが、自分の場合は間違いなく練習でした。もちろん天性のシュートセンスを持った選手はいます。ちょっと後になりますが、日本代表合宿で当時大学生だった金丸(晃輔・佐賀バルーナーズ)と一緒に練習したときは、ああ、こういう選手がいるんだと驚きました。認めたくないけど自分より圧倒的にセンスがあるなって」
しかし、タイプが違ったとしても「シューターのメンタリティーには共通したものがある」と言う。
「シューターって、ただ単にシュートが上手い選手じゃないんです。ここで1本打つというときに一切の迷いなく自信を持って打てるかどうか。シューターと呼ばれる選手はみんなそういうメンタリティーを持っているはずです。厳密に言えばシューターではないかもしれないけど富樫(勇樹・千葉ジェッツ)とか河村(勇輝・NBAシカゴブルズ)を見ていると、あるときから格段にシュートが入るようになった印象がありますよね。でも、あれって急にシュートが上手くなったわけではない。当然本人たちの高いスキルやたゆまぬ努力もあるでしょうが、1番はシューターとしてのメンタリティーを持てるようになったからだと思っています。すると周りも認知してくれるんですね。ここはこいつが打ってオーケー、ここで打つのはこいつしかない。大事な場面でそういう空気を作り出せるかどうかが大きいんですよ。ひと言でいえばチームメイトからの信頼ですが、その信頼の中でこそ生きるのがシューターだと思っています」
もちろん、より高確率なシュートを目指すためには打点、スピード、身体の使い方、一瞬の状況判断などといった技術の向上も必要になる。
「高校時代の自分は得点源としての役割を果たすためにとにかくたくさん打ってました。シュートセレクションとかはほとんど考えてなくて、20本、30本打つボリュームシューターだったんですね。チームのために自分がどれだけ点を取るか、いかにスーパースターモードになれるかが肝心で、今思うと恥ずかしいくらいめちゃくちゃなこともやってました(笑)。そこからいろんな意味でもう一段上に行けたのは大学で鍛えられたおかげだと思っています」
進学先を決めたのはやはり自分自身。いくつものオファーの中から岡田が選択したのは、当時まだ関東大学2部リーグに在籍していた青山学院大学だった。
いつだってバスケに夢中だった(2)へ続く
文 松原貴実
写真 吉川哲彦、B.LEAGUE