“借金” を減らしていくという意味でも、今後への手応えを確かなものにするという意味でも、東京Zに負けたことは痛い。しかし、プレーオフ進出争いが繰り広げられている8位前後は団子状態で、1つの勝ち負けで順位はすぐに入れ替わる。順位争いのターゲットとなるチームとの対戦はまだ多く残されており、徳島にもチャンスは十分にある。
「順位の近いチームとは直接対決もまだ残ってますし、香川さんや横浜さんに勝ったというのも事実なので、1つ1つ勝っていけばプレーオフ圏内にはいける。今シーズンはどこが勝ってもおかしくないというのは前半戦が終わったところでわかってるので、香川さんや横浜さんに勝ったときのようなディフェンスの強度をしっかりやりきれば、プレーオフでも勝ってB2昇格もできると思ってます。大事なのは同じ負け方をしないこと。今日の負けの反省も今後に生かしていければと思います」
トライフープ岡山でプロキャリアを歩み始めた若狭は、瀬戸大橋を渡った香川県の出身。昨シーズン、参入初年度の徳島に移籍してきたことについては、四国のクラブであることは理由の一つではあったようだが、むしろ “ご当地選手” というバイアスがかかることは避けたかったという。尽誠学園高の恩師である色摩拓也コーチから「もし香川からオファーがあったらどうする?」と問われた際は、「断ります」と伝えたそうだ。
「実際にオファーがあったかどうかはわからないんですが、『地元枠だから香川に入れた』とは思われたくないんです。契約したとしても、試合に全然出られない可能性も普通にあると思うので、地元でプレーするのは今ではないと思ってます。
徳島に関してはザック(生馬GM)さんとお話しして、『現役Bリーガーで最初に声をかけた』とも言われましたし、すごく熱意が伝わってきましたね」
尽誠学園高では、2学年上に渡邊雄太(千葉ジェッツ)がいた。NBAで6シーズンを過ごした先輩が日本に戻ってきたことは、若狭にとっても刺激になる材料のはずだ。しかし、逆に刺激を与えたいと思っているところが若狭のマインドをよく表している。
「雄太さんのご両親も昨シーズンから何回か試合を見に来てくれて、『若狭を応援したい』って言ってくれてるんですよ。周りからは『あいつ尽誠なんや』と言われることも多いので、雄太さんや色摩(拓也)先生、先輩たちのためにも頑張りたいし、雄太さんが頑張ってるから僕もではなく、僕が頑張ることで雄太さんにも『頑張ろう』って思ってもらえるようにやっていきたいです」
若狭は同じように、今こそチームを奮い立たせたい局面。2シーズン連続プレーオフ進出を狙う徳島ガンバロウズの反転攻勢は、若狭のハッスルにかかっていると言っても過言ではない。
文・写真 吉川哲彦