クラブ創設から2シーズン続けてプレーオフに進出している東京ユナイテッドバスケットボールクラブは、今シーズンさらに大きな飛躍を遂げているところだ。まだレギュラーシーズンが始まって2カ月余りしか経っていないとはいえ、第10節を終えた時点で14勝2敗。橋爪淳ヘッドコーチを新たに迎えた点は昨シーズンとの違いだが、戦力的には大幅に入れ替わったわけではなく、チームとして成熟度を増していることが窺える。
9連勝で迎えた第11節、東京八王子ビートレインズとのGAME1も持ち前のディフェンスが後半に機能し、見事10連勝に到達した。少数派である今シーズンの移籍組の1人、田口暖はチーム全体に戦略が浸透した結果の勝利であることを強調する。
「僕たちはディフェンスを売りにしてるチームなので、試合の入りが悪くても絶対に取り返せるというところがある。自分たちがやろうとしてるバスケはみんなわかってると思うので、誰が出ても変わらないというところは後半に体現できたかなと思います」
この日は4得点だったことから、自身のパフォーマンスについては「そんなには良くなかった」と振り返るが、8アシストは司令塔として十分な数字。それでも、「もうちょっと自分が攻めていかないといけない」と自己採点は厳しい。
「今日は自分の所にディフェンスが寄ってきたのでアシストがついたんですが、アタックするところはアタックしなきゃいけないし、シュートを打ちきるところは打ちきらなきゃいけないというのが課題。プレーオフになるとそういうところが特に出てくると思うので、練習もそれを意識して取り組んでます」
これだけ白星を重ねられているとなれば、チームとしての手応えは大きい。田口は基本的にベンチスタートだが、その役割にも順応し、チーム全体が機能しているという感触がある。
「やることは明確だし、例えば長尾(光輝)が出てるときはこういうバスケ、僕が出るときはこういうバスケというのがみんなわかってると思います。その良さをコーチが操作しながらやってると思うので、選手としては与えられた仕事をしっかりやるだけだと思います。スタートでもそうじゃなくても自分の役割はそんなに変わらないですし、試合の状況を見てから入るほうがやりやすいというのもあって、僕は今そっちに慣れてきてます」
田口といえば、まだ東京に拠点があった頃のエクセレンスで、宮田諭に見出されてプロキャリアをスタートさせた選手。時を経て、東京Uで編成を担当する宮田から再び声がかかり、移籍を決断した。その宮田による田口評は以下の通りだ。
「ディフェンスとスピード感を出すところ、あとは球離れの良さですね。田口が出る時間帯は全員が走って点を取って、ディフェンスでは先頭で当たってくれてという感じで、チームのリズムを良くしてくれてます。チームを動かすという点は、もともと期待した通り。エクセレンスの最後のほうは試合に出たり出なかったりで、求められる役割もブレてたところがあって本人も難しかったと思うんですが、今は昔の姿を取り戻すというか、自分がやるべきことにフォーカスして、しっかり準備して役割を果たして貢献しようというマインドになってると思うし、やりやすさは感じてるんじゃないかと思います」