昨シーズンは西地区優勝、チャンピオンシップはセミファイナルまで進み、リーグ4強の好成績をおさめた。今シーズンは優勝を狙うべく、今村佳太やアイザイア・マーフィー、ルーク・メイ、ザイラン・チータム、加藤嵩都と新たに5人迎えた。それにより、「少し時間がかかっている。私が就任した1年目も同じように時間がかかった。でも、今の逆風を乗り越えれば乗り越えるほど強くなる。12月になれば、本当に素晴らしいチームが見えてくる」とデニスヘッドコーチはこの状況にも焦りはない。スクラップ&ビルド、トライ&エラーを行っているからこそ、表と裏が出ていたのが答えである。
「今はいろんな異なることを試し、工夫しているがまだ答えが見つかっていない。良い答えを見つけて努力しているが、今はまだ分からず模索している最中だ。これからブレイクに入り、時間をかけて練習できるので答えを探していきたい」
憧れの齋藤拓実から学ぶ「スピード感が一番勉強になっています」
新たに加入した加藤は特別指定としてB2の熊本ヴォルターズでプレーし、ルーキーシーズンはさいたまブロンコスでB3からプロキャリアをスタート。プレーオフでは、平均15.1点と活躍したが、B2昇格は叶わなかった。続く昨シーズンは福島ファイヤーボンズへ移籍し、加藤自身はB2へ昇格。そして今シーズンは名古屋Dへ迎えられ、1年毎にステップアップしてB1のコートにたどり着いた。
名古屋Dの齋藤や、マッチアップした千葉Jの富樫勇樹は学生時代から憧れてきた存在という。同じポイントガードとして齋藤から、「例えばシュートであれば、フローターとか足の位置とか細かいところを挙げれば、いっぱいあります。大まかなことで言えば、スピード感が一番勉強になっています。最大値ではなく、スピードをコントロールする緩やかさと軽やかさはすごく意識しています」と加藤は日々学び、同じようなプレースタイルでバックアップを務める。
加藤のプレーに対し、「出ている時間帯は試合をつなぐ良い仕事をし、持ち味もしっかり出せていると思います。アドバイスを求める貪欲さがあり、いろいろ質問もしてくれますし、僕も気づいたところがあれば、例えば今日の試合(11月10日の千葉J戦)でも、ひとつターンオーバーをしたプレーではスコアリングオプションに入っていなかったので、そこも試合中に話しました。昨日の試合では2ガードで一緒にコートに立ち、その時間帯もすごく良かったです」と齋藤は話し、FIBAブレイク期間で二人のケミストリーをさらに高めて行く。
リーグが再開する11月30日まで3週間弱。結果を残して来た表面を継続して発揮できるよう、「みんなが自分たちのプレーを信じて、コミットしてくれるようしていきたい」とデニスヘッドコーチは落とし込む。勝っても負けても14試合を通して課題が浮き彫りになった。練習によって正しい方向へ軌道修正できるかが、今後の結果につながっていく。掛け違えたボタンを直し、ほつれていれば付け替え、寒い冬を熱くするための身支度がはじまる。
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE