「アメリカでマッチアップする選手はやっぱり背が高く、手も長いし、身体能力もある中でも、通用できたことが今の自信につながっています。日本に帰ってきて、負けたくない気持ちもあります。アメリカで得た経験が今、すごく生きています」
ルーキーとしてキャリアをスタートさせた島根で経験を積む選択肢もあったが、「河合ヘッドコーチから熱烈なオファーを受け、一緒にやりたいと強く言ってくれたこと」で移籍を決めた。大橋が島根に入団する1年前まで、河合ヘッドコーチもポール・ヘナレヘッドコーチに師事していたことで、「B1でもトップチームの島根が行っていたシステムなど似ている部分があります。その中で僕がチームの中に落とし込める部分と、逆にこれまでの横浜EXの良い部分をうまく合わせながら良い方向に進めています。チームにエナジーやスピードで良い影響を与えられていると思っています」と大橋はB1での経験もしっかりと還元し、チームをさらなる高みへ引き上げている。
11月に入り、アメリカではカレッジバスケが開幕した。日本代表としてパリオリンピックへ出場したハワイ大学のジェイコブス晶を筆頭に、山ノ内勇登ウィリアムズはポートランド大学から昨シーズンのマーチマッドネス(全米大学選手権)出場チームであるネバダ大学へ転向し、着実にステップアップしている。ガードナー・ウェブ大学のタク・ヤングブラッド、昨シーズンのケガから復帰したラドフォード大学の山﨑一渉は3年目のシーズンが楽しみだ。フレッシュマンとしてウェバー州立大のハウエット・ナイル、シアトル大学の川島悠翔、ジェイコブスのチームメイトとなる伊久江ロイ、そしてボストンカレッジのテーブス流河と、筆者が知る限りでもこれほど多くの日本人がNCAAディビジョン1にいることが感慨深い。八村塁に続く、日本人として2番目のマーチマッドネス出場にも期待が高まる。ディビジョン1だけではなく、大橋がいたディビジョン2やNCAA以外でもカレッジバスケで活躍する日本人を含めれば、さらに多い。大橋も後輩たちの活躍を楽しみにするとともに、刺激を受けていた。最後に、自らの経験を踏まえたメッセージを紹介して締めたい。
「本当に今の高校生や大学年代はすごく上手であり、身体能力も高く、背が高く、日本人離れした子がたくさん出てきています。でも、日本から行く場合は、言語の壁など難しさも当然あります。その中でも、1番はやっぱりメンタル。自分にとってもアメリカで一番成長した部分がそこでした。アメリカにいる選手たちは『絶対に負けないぞ』という気持ちが人一倍強い人ばかりです。その部分をどれだけ自分から出せるかが、今の子たちが成功につながる秘訣かなとは思っています。自分は今も、そこを意識しながらバスケをしています。若い選手たちには負けないように、がんばらないといけないですね」
文・写真 泉誠一