北GMがこのクラブに誇りを持っていることの一つが、OBたちの活躍だ。Bリーグを見渡すと、宮永雄太(佐賀バルーナーズ)や栗原貴宏(福島ファイヤーボンズ)、町田洋介(越谷アルファーズ)らがコーチとなり、大学など他カテゴリーにもクラブOBの指導者は多い。おそらくは、このクラブでバスケットの楽しさや勝つ喜びに触れたのだろう。そして、北GMは地元への想いも今なお強く持ち続けている。
「今、東芝のOBたち数名がコーチングスタッフをやっています。それは嬉しいですね。もっと日本のバスケットが盛り上がってくれたらと思いますし、その中で今まで一緒に携わったことがある方々が活躍するのは嬉しいです。同じ石川県出身の大野さん(篤史、三遠ネオフェニックスHC)や、選手も何名かいる。彼らの活躍は、同県人として誇りに思います。この間、石川県出身の選手が県内でクリニックを開催していました。私も東芝のときに1年に1回クリニックを開催していたのですが、聞くところによるとその時に当時ミニバス所属だった森井選手(健太、現横浜ビー・コルセアーズ)や大倉選手(颯太、現アルバルク東京)がそのクリニックを受けたそうです。同様のクリニックを森井選手もやりたいと思ってくれたようで、ここ数年石川県でクリニックを開催しています。僕はHCになってからは開催できなくなりましたが、こうやって、それを引き継いでくれるのは大変嬉しいです」
東芝入社以降、日本バスケット界とともにクラブが様変わりしていく姿を最も近いところで見てきた、いわゆる歴史の証人でもある北GM。「そんなに興味がなかったバスケットに、今も携わっているとはね」と笑うが、自身の人生を形作る最も重要なエッセンスとなったバスケットへの感謝は何よりも強く、30年と言わず、この先の人生もバスケットとともに35年、40年と歩んでいくつもりだ。
「今52歳ですが、このクラブでいろんなことを経験させてもらってここまで成長できたので、必要とされるのであればという想いはあります。レベルの高い外国籍コーチや選手がたくさん来日して、日本のバスケのレベルを上げてくれています。しかし日本のリーグなので、日本人の選手やスタッフが活躍できるような人材が必要だと思います。いろんな方々との出会いがあり、たくさん応援してくれる方々がいて、たくさんサポートしてもらったので、人に恵まれて幸いですし、バスケットを一生懸命やってきてよかったと思います。今でも応援してくれて気にかけてくれている東芝の方々も多い。クラブには永久欠番にもしていただいたし、本当に感謝しています」
川崎ブレイブサンダース 北卓也GM
バスケット一筋に、川崎一筋に
【前編】 https://bbspirits.com/bleague/b24102301kit/
【後編】 https://bbspirits.com/bleague/b24102402tky/
文 吉川哲彦
写真 川崎ブレイブサンダース、吉川哲彦