もちろん、個人としても飛躍した実感は強い。レギュラーシーズンは60試合フル出場を果たし、そのうち38試合がスターター。1試合平均24分14秒出場、同9.5得点はいずれも前シーズンからほぼ倍増、アシストは3倍超の5.2。秋田で学んだものも、ディフェンスで生かすことができた。そして何より、チームが中地区優勝という結果を残したことが、大浦にとっては最高の経験となった。
「プルアップの3ポイントとか、スキルもすごく成長できたシーズンでした。まだまだ上げていく必要はありますが、秋田のときはそんなに多くは打ってなかったシュートだったので、そこは選手として成長できたなと思います。プロ1年目の頃はオフボールのディフェンスがわからないところもあって、そこは秋田ですごく教えてもらったので、三遠に来てからもコーチ陣に指示されたことに早く対応、順応できたのかなと思います。中地区優勝というのは、今までのキャリアでそういう大きなステージでの優勝がなかったので、すごく良い経験になりましたし、そういう意味でも成長できたかなと思います」
ただ、最後はCSの厳しさを思い知らされるシーズンでもあった。クォーターファイナルで激突した広島ドラゴンフライズにはレギュラーシーズンの2度の対戦で連勝しているが、その際は得点源の1人であるニック・メイヨが欠場していたということもあり、大浦は「油断はしてなかった」と言うものの、結果的には連敗で終止符。第2戦、3点ビハインドを背負った最後の場面で、同点を賭けて3ポイントを打ったのは大浦だった。勢いに乗った広島が頂点まで駆け上がったことを考えると、あの1本が決まっていれば……などといろんな想像が働くところだ。「優勝は狙えると思ってましたし、自分たちを信じて戦っていた」と語る大浦自身、悔しさはひとしおだっただろう。
「やっぱり広島は強かったです。自分たちが我慢できるところを我慢しきれず、1つのリバウンドや1つのルーズボール、1つのディフェンスで相手のペースにもっていかれました。結果としては納得のいくCSではなかったので、自分もシュートを決めきる力をつけていかないといけない。チャンピオンを目指すにあたって、まだまだ足りない部分があったなと感じました」
それでも、三遠がチームとして大きく成長したシーズンだったことは事実。あと3点届かなかったあの試合を「次のシーズンにつながる試合でもあった」と振り返る大浦は、「最初からやることを変えず、自分たちのやりたいバスケットをやり続けて結果がついてきた。CSで勝てなかったことも次につながる、すごく良いシーズンでした」とこの経験を糧に、次の一歩を踏み出そうとしている。
文 吉川哲彦
写真 B.LEAGUE