── そのCSでまずクォーターファイナルの激戦を制したことは自信になったのではないですか。
それはありますね。自分たちにいい風が吹いてきたんじゃないかなというのは感じました。セミファイナルで千葉Jさんを倒せたのもそういった気持ちが少なからず(チームに)いい影響を与えてくれたのかもしれません。
── でも、残念なことに広島ドラゴンフライズの勢いを止められず連覇は叶いませんでした。1勝1敗で迎えた第3戦は50-65。完敗だったと言えます。
おっしゃるとおり完敗でした。実は敗れた瞬間の気持ちが今でもよく思い出せないんですよ。それぐらい茫然としていたんだと思います。その後もしばらく自分たちには何が足りなかったのか?と考えたんだけどよくわからないというか。あのときああしていれば、この1本を止められていれば、と全て “たられば” になってしまう。もちろん、反省点は思い浮かぶんですよ。たとえばアグレッシブなプレーにはそれなりのリスクが伴うから、ゲームの流れが悪くなるとついつい安全なプレーを選択してしまう。うちにはジャック・クーリーやアレックス・カークをはじめ強力なインサイド陣がいますから、少しでもゴールに近いところ、近いところで確実に得点しようという意識が生まれちゃうんですね。それが何となくみんなに伝染して、次第にボールが回らなくなり、キングス本来の流動的なプレーができなくなってしまった気がします。自分自身もまた(シュートの)確率とか、より良い選択とかを考える気持ちが強すぎて、目の前の自分のマークマンを倒す集中力が欠けてしまっていたかもしれない。そういうことを考え合わせると、足りなかったのは “積極性” だったのかなという思いはあります。
── 気持ちの切り替えに時間がかかった?
はい、珍しく時間がかかりました。でも、もう大丈夫です。今は切り替えて、しっかり今シーズンに向かっています。
── 今シーズンのキングスに集中できているわけですね。
そうです。やる気満々です(笑)。色々考えることや悩むようなことがあっても、一度方向が定まったらあまり後ろは見ないっていうか、なんとかなるだろうと思うタイプなんですよ。楽観的なんだと思います。
── 楽観的?
そう思います。自分でどうしようもないことにくよくよしてるぐらいなら次に行こうと考えるタイプですね。
── 若い選手たちにもそうアドバイスするのですか?
聞かれたらそう答えるかもしれません。っていうか、僕のところにはあまりアドバイスを求めに来ないですね。多分、楽観的な答えしか返ってこないから、相談してもあまり参考にならないと思われてるんじゃないでしょうか(笑)
【中編】プレッシャーも自分を成長させてくれるものの1つ へ続く
文 松原貴実
写真 B.LEAGUE