「そうですね。でもやっぱり広島さんは結構大きいので、それこそ齋藤(拓実)選手も大きくて動ける2メートル越えの選手につかれながらっていうのは、なかなか練習中だとなかったのかな。広島さんはオンザコート3ができたので、そこでうまく崩しきれなかった部分もあったのかな、と思っています。
三遠(ネオフェニックス)さんも、クォーターファイナルであたったときに多分、そのディフェンスに困って、早い展開が得意なチームだったのに、やっぱり広島さんのペースでゲームが進んでしまった。
うちと三遠さんはどちらかというと似たようなプレースタイルだったと思うので、どっちもうまくペースを握られたのかなと思いました。」
それってつまり解決不能?あの4人が中核に据えられているうちは一生広島の天下?とまでは言わなくても名古屋Dにとって目の上のたんこぶであり続けると、そういうことなのでしょうか、とまたもや不穏な空気の製造に勤しめば
「それに向けて、今シーズンはポジションレスのバスケを展開しようとしていて、誰がどこのポジションに入ってもプレーができるようにっていうのを今年のテーマにやっています。去年よりも全員走れるので、目指すところは去年よりも速い展開で、前からもっとプレッシャーをかけて相手を困らせるディフェンスをして。そしてポジションレスで誰がどこに入ってもいけるように、例えば相手のビッグマンをシューターのセットスクリーンに絡ませるとかもできると思うので、相手が普段守ったことのないポジションで守らせるとか、そういう面白いことができるんじゃないかと思っています。」
といって新しいシーズンの楽しみに思いを馳せた。面白いこと。課題だの問題だの反省だの、頭の中でぐるぐると廻り続ける厄介ごとをまるごと期待に変換して、うきうきとした気持ちで勝負ができたらどれほど清々しいだろう。
それでいてただの楽観でなく、速さと引き換えにサイズが落ちたこと、ディフェンスリバウンドがキーになること、などなどの懸念にも意識を傾けながら、来年の5月末を待ちわびる姿の頼もしさ。
「(昨シーズンの西地区初優勝について)正直、嬉しかったのは嬉しかったんですけど、やっぱり通過点でしかなかったです。(目標にしているのは)リーグ全体優勝だったので、まだそこまで、こう、めちゃくちゃ嬉しいっていう感じではなかったです。」
特別になるかもしれない中東の10年目のシーズンが、これから始まっていく。
文 石崎巧
写真 B.LEAGUE