オフシーズンに開催されるエキシビションゲームは大概、イベントを配したデザインか、所属チームのユニフォームをバラバラに着るものだ。しかし、ニック・ファジーカスを称える引退試合「NICK THE LAST」は、全員が川崎ブレイブサンダースのユニフォームを着用していた。広島ドラゴンフライズの初優勝でBリーグ 2023-24シーズンを終え、自由交渉選手リストに一喜一憂する季節が到来。川崎や前身の東芝時代に縁ある選手たちは懐かしく、日本代表としてニックとともに戦った仲間たちのブレイブレッドのユニフォーム姿は目新しい。もし、川崎でプレーしたら……とイメージをふくらませながら、宴が幕を開けた。
第1クォーター:篠山竜青ミス祭
レギュラーシーズン60試合+日本生命 B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2023-24、天皇杯や日本代表戦などなど、忙しなく本気でぶつかり合ってきた選手たちも、オフになるともぬけの殻になるとは聞いていた。シーズンを終えた時期や年齢も区々であり、コンディションも千差万別。オフシーズンはこれほどダメになるのか(笑)、と開始早々からイージーシュートを外しまくり、あられもない姿をさらしたのが篠山竜青だった。MCの高森てつさんも「5つ目のミス」と追い打ちをかける。「これだけたくさんの方が見に来てくれて、バスケットLIVEでも放送してくれて、良いゲームにしたい、良いイベントにしたいという思いはありました」と篠山も、この試合にかける想いは強かった。
「その中で、出だしにふざけるつもりは本当に全くなくて、ダラダラしないようにというところでトーンセットしなきゃっていう思いでやったんですけど…。結果としてちょっとシュートが入らなくて、あのような感じになっちゃったんです」
TEAM WHITE(以下WHITE)は篠山のミスにより、開始4分間で13-2とTEAM RED(以下RED)の一方的な展開に。そのREDのユニフォームを着るニックは、第1クォーターで早くも20点に到達し、26-18と8点リードする。
第2クォーター:技あり長谷川の3ポイントシュート祭
引退するニックの活躍に、まだまだ現役を続ける選手たちも黙っていない。8点を追うWHITEは、練習生から這い上がってきた益子拓己が元気に走って勢いづける。篠山も、ニックが伸ばす長い手の上から3ポイントシュートを沈め、汚名返上。長谷川技はノーミスで4本の3ポイントシュートを決めた。
長谷川とニックは同じく12年前、当時の東芝ブレイブサンダースに入団。JBL時代のレギュラーシーズンは42試合しかなかったが、「今は60試合に増え、体力的にも年齢的(※38歳)にもきついところは出てきたんだと思います」と長谷川は納得しつつ、未練もある。
「今はリカバリーもいろいろな方法が増え、それをニックも取り入れ、入念な体のケアをずっとしていました。気持ち的にしっかり持てるようになっていれば、まだまだできたんじゃないかなぁとは思います」
技あり長谷川が猛追したが、51-48でREDのリードは変わらず。後半はニックがWHITEのユニフォームに着替え、3点を追う。