デイニアス・アドマイティスヘッドコーチ体制2シーズン目の挑戦は、チャンピオンシップクォーターファイナルで幕を閉じた。今シーズンのアルバルク東京は、レギュラーシーズンで48勝12敗、勝率8割を記録。東地区優勝は宇都宮ブレックスに譲ったものの、Bリーグでのクラブ最多勝記録を塗り替え、リーグ初となる3度目の制覇も明確に視界にとらえていただけに、悔しい結果となった。このクォーターファイナルはホーム開催ではあったものの、有明コロシアムという試合会場に関しては、bjリーグを4度制覇している琉球ゴールデンキングスのほうが戦い慣れているのも事実。有明コロシアムで連敗したことのない琉球のジンクスが、未だ生きていたということも言えるだろう。
ただ、どちらに転んでもおかしくない紙一重の大激戦だったことも間違いない。第1戦はダブルオーバータイムにもつれ、80-81とわずか1点差での黒星。第2戦を73-69の4点差で取り返して迎えた第3戦も、57-58と1点差での決着だった。CSを含めた63試合全てにスターターで出場したテーブス海も、「チームとして最後の最後まで全力で戦ったというのは間違いないと思いますし、自分たちの目指してたところには辿り着かなかったんですが、昨シーズンの王者と3試合目までもつれて、あんなタフな試合を戦えたというのは間違いなくこのチームの成長。ありきたりですが、次につなげたいなと思います」と語る表情はどこか晴れやかだった。「たった1点で成功か失敗かが決まってしまうし、そのために僕たちはプレーしている」という言葉は、勝負の世界の厳しさを知っているからこそ。望まない結果も受け入れた上で前に進むという、プロとしての覚悟にも近いものだ。
アメリカの大学から日本に戻り、宇都宮ブレックスでプロキャリアをスタートさせたテーブスは、事あるごとに「全てが経験」と繰り返してきた。Bリーグで3チーム目となるA東京で自身が成長した部分を「全部ですね」と胸を張るテーブスは、「このチームでスタートをやらせていただいて、大きな責任を背負って大きな役割をやらせていただいて、できたときもできなかったときもあるんですが、この1年の経験は自分にとってめちゃくちゃ大きい。来シーズンは絶対にもっと良くできる」と確かな自信もつかんだ。そして、宇都宮時代に優勝も経験しているとあって「CSのタフさはよくわかっていた」としつつも、「体への負担とか、試合終盤の判断とかはやってみないとわからないもので、手応えも感じたし、純粋にチャレンジして学んだこともあった。チームを優勝させるガードになるためにはこういう試合を勝たないといけないし、もちろん反省点も多いんですが、大事な経験になりました」とやはりここでも “経験” というワードを強調した。あらゆる経験から常に何かを吸収し続けることこそが、テーブスにとっては最も重要なことなのだ。
「やっぱり経験というのは大きいと思うんです。何を良くしたら勝てるのかというのは正直なくて、どのゲームもシチュエーションが違いますし、いろんなタイプのガードがいて、自分でシュートを決める、アシストする、プレーコールをするとかいろいろある中で、どのシチュエーションにもしっかり応えられるガードになるのが一番僕に合ってると思いますし、僕のスタイルでもある。どこが成長すればというのではなく、今回経験できたものを次につなげられれば勝たせるポイントガードになれると思ってます」