「今までの試合は客観的に、自分がコートに入ったときはこうしようということを考えながら見ていたので、今のチームに足りないものを出して、良いきっかけ作りになれるようにと思って入りました。最初は緊張して良いプレーができなかったですが、みんながフォローしてくれたので、途中からは気持ちが入って周りが見えるようになって、徐々に『あぁ、こういう感じだったな』と思い出してきました。『こうしよう』と思ってた部分と、いざコートに入ってやってみるのとでやっぱりちょっとギャップがあったんですが、それをすり合わせて今日はたまたま良い方向にいけたので、ホッとしてます」
今シーズンの越谷は、ある程度点差をつけてもそれを守りきることができない、第1戦に快勝しても翌日は悪い流れに陥ってしまう、といったように安定感を欠いた。4カ月もの間、外からチームを見守るしかなかった二ノ宮の目に、チームはどう映っていたのか。
「偉そうなことは言えないんですが(笑)、本当に勢いに乗ったときはかなり強い。でも、相手が乗ってしまったときとか、自分たちがやりたいことをストップされたときに、その打開策がないというか、柔軟に対応できないことが多いなと思いました。いろいろとセットプレーがある中で、どこを狙ったほうがいいとか、このメンバーだったらこういうプレーをしたほうがいいとか、それが上手くいかないときがあって、自分はそこを助けられるようにと思ってました」
復帰戦のチームの戦いぶりは、二ノ宮がコートに立ってコントロールした効果がよく表れたということが言えるだろう。チームは45勝15敗という昨シーズンの成績から10個も白星を減らしてしまったが、二ノ宮は「勝率は確かに昨シーズンのほうが高いですが、個人的にはオフェンスもディフェンスも今シーズンのほうが良いんじゃないかなと思ってます。チームとしてやらなきゃいけないことが明確になってるので、それをしっかりやればB1に行けないことはないと思います」とポジティブだ。B1昇格が現実味を帯びた昨シーズンのプレーオフは、クォーターファイナルでよもやの敗退となってしまった。その悔しさを払拭することができるか、二ノ宮にかかる期待は大きい。
二ノ宮のインジュアリーリスト抹消に伴い、チームは飯田鴻朗を契約解除せざるを得なかった。また、前日から二ノ宮と入れ替わってベンチ登録を外れたのは田村晋。その2人の他にも、いわゆる “Bリーマン” が練習生としてチームに帯同している。自身もまたBリーマンである二ノ宮は、在籍4シーズン目の越谷で結果を残したい想いは強い。
「アルファーズの歴史がある中で、今は彼らは試合に絡んでなくても、若い選手を頑張らせたり、気遣いのできる選手ばかり。彼らのためにも、今シーズンこそは昇格したいです」
ようやく全てのピースが揃った感のある越谷。二ノ宮は、プレーオフの壁を打ち破るためのカギを握る存在となりそうだ。
文 吉川哲彦
写真 B.LEAGUE