両チームともシュート成功率は3割台。日本生命 B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2023-24(以下CS)を彷彿とさせるディフェンシブなゲームではあったが、それ以上に連戦による疲労の影響も否めない。宇都宮は、前日に好調だった3ポイントシュートは成功本数も確率も半減している。佐々ヘッドコーチは、「そこまでタフショットではなかったし、シュートが入っていなかったからこそ、もう1個パスで預けていけば良かった」と様々な課題を挙げる。高いレベルの首位攻防戦だったからこそ、チームを高めるきっかけをつかむこともできた。
宇都宮の東地区優勝マジックは3。仮に、残り4試合で勝率が並んだ場合は得失点で上回ったA東京が逆転優勝となる。順位が入れ替わってもCSセミファイナルまでともに勝ち上がれば、ふたたび対戦が待っている。アドマイティスヘッドコーチは「この勝利は確かに大きい」と黄色く染まったアウェーで一矢報いることができたことが自信となる。しかし、いずれもレギュラーシーズンの単なる1節と考え、これまでと変わらぬ一戦必勝で自らのスタイルを確立させていくラストスパートに入った。
難しい試合と感じていた佐々ヘッドコーチにとって、1勝1敗は上々の結果ではないか、と質問を投げる。「結果の捉え方になってしまうが、上位決戦だから仕方ないと言うことができれば、相手はサイズが不在、しかもホームだから2連勝できたという考えもある」と自問自答しながら、「やっぱり勝たなければならない試合だった」と結論に至る。現在47勝でリーグトップの勝率を誇る今シーズンの宇都宮は、負けない強さがあり、この試合もドラマが起きそうだった。「こういう感覚をもたらしてくれる選手たちがすごい。残り1分半を切って6点ビハインドになった時も、『勝てる!』と思っていた。昨シーズンは同じようなシチュエーションになったら、うまくプレーできないまま終わっていた。でも今日は、(竹内)公輔の3ポイントシュートでまたゲームが分からなくなった」とあきらめずに戦った選手たちをロッカールームで労った。佐々ヘッドコーチはホームで優勝できなかったことさえ、プラスに捉えていた。
「もちろんホームで勝って、優勝を決めたかった。でも、気持ちとしては、緊迫したままCSに入っていきたい。三遠(ネオフェニックス)との3地区1位争いも残っており、これから落とせない試合が続く。選手たちのコンディション管理に気をつけながらも、そこまで偏ったような選手起用はしない。よっぽど痛みがある選手がいれば別だが、普通に走り抜けてCSへ向かっていきたい」
残り4試合、A東京は群馬クレインサンダーズとレバンガ北海道。宇都宮はいずれもアウェーゲームとなる千葉ジェッツと茨城ロボッツを残すのみ。ゴールデンウィーク中はホームを留守にする宇都宮だが、4月26日より『3×3 WEEK』が開幕する。今年も宇都宮市の二荒山神社からFIBA 3×3ワールドツアー2024が開幕。宇都宮BREX.EXEが本戦へ出場し、世界へ挑む。5月3日から3日間、宇都宮市の新たなランドマークとなるライトキューブ宇都宮で、パリオリンピックへの出場権を懸けた世界予選(FIBA 3×3 ユニバーサル オリンピック予選トーナメント 2)も待っている。先月のFIBA 3×3アジアカップに出場した宇都宮BREX.EXEの斉藤諒馬は候補選手のひとり。男女揃ってオリンピック出場へ向かって背中を押すためにも、宇都宮の黄色い声援が絶対に欠かせない。
文・写真 泉誠一