今シーズンのB3は、金沢武士団が持っていたリーグの連勝記録を福井ブローウィンズが更新。新規参入ながら、コーチ陣も含めて重厚な戦力を揃えた福井が破竹の勢いで勝ち続けている姿は、一昨シーズンの長崎ヴェルカを彷彿とさせ、必然的にファン・ブースターの注目も福井に集まりがちだ。
しかし、もう1つの新規参入クラブである徳島ガンバロウズも快調に白星を重ねていることを忘れてはならない。第19節を終えた時点で23勝15敗と勝率は6割を超え、18クラブ中6位。2位以下が混戦となっている中で、プレーオフホーム開催も狙える位置につけていることは十分にインパクトがある。
第20節、徳島はアウェーで横浜エクセレンスと対戦。1ゲーム差で5位にいる横浜EXとの直接対決は、今後の行方を左右しかねない重要な戦いだ。その第1戦、徳島は第1クォーターで23-16と先手を取り、その差を広げて11点リードで折り返したにもかかわらず、後半にオフェンスが失速して7点差で黒星。先にホームで対戦した際は1勝1敗、得失点差がマイナス7だったため、第2戦は15点差をつけて勝たなければ直接対決でのアドバンテージを取れないという状況になった。
迎えた第2戦、この日も徳島は第1クォーターに7点のリードを奪い、前半は9点差をつけるという、前日と似た試合展開。違ったのは、後半もオフェンスが安定していた点だ。外国籍選手の力強いアタックに加え、若狭功希の3ポイントが高確率でネットを揺らし、最終的には96得点。ディフェンスも「相手に良い形でシュートを打たせないことは40分間できた」と塚本雄貴が振り返ったように、高い位置からプレッシャーをかけるディフェンスを徹底して横浜EXの反撃の芽を摘んだ。
17点リードの残り2秒にバスケットカウントを許す “あわや” という場面もあったが、相手のフリースローミスに救われ、ピッタリ15点差での勝利。直接対決は2勝2敗のタイとなり、得失点差で1点上回ったことで、レギュラーシーズン終了時点で勝率が並んだ場合、横浜EXよりも上の順位となる(ただし、3チーム以上が並んだ場合は該当チーム全ての対戦成績で決まる)。
指揮を執るデマーカス・ベリーヘッドコーチも、目の前の一戦にフォーカスしていることを強調しつつ、この勝利が持つ意味ももちろん理解していた。
「昨日の悔しい負けの後、仕切り直して勝てたことはすごく大きいです。横浜は強いですし、素晴らしい選手が揃っているので、我々が強く戦い抜いて勝つことができて本当に良かった。勝てたということが一番大事でしたが、プレーオフ争いをしていく中で、順位でタイになる可能性も十分にある。プレーオフのホーム開催につながることも考えられるので、タイブレークを勝ち取れたということもすごく大きかったと思います」
そう語るベリーHCにとって、今回の2試合は他にも大きな意味を持つものだった。昨シーズン、アソシエイトコーチの肩書を背負い、日本での初めてのコーチングとなったのが横浜EX。そのホームアリーナである横浜武道館への凱旋となったと同時に、GMとして自身を日本に招き、共闘した石田剛規HCとの初対決でもあったからだ。開幕節にホームで対戦した際は、横浜EXの指揮官がジョゼップ・クラロス・カナルス。GM業に専念していた石田HCが再び指揮を執る前のことだった。