YouTubeで見ていたクラブハウスに感動
取材を行った11月末時点で14戦を終え、12勝2敗と好調なスタートを切った川崎。野﨑は平均16分のプレータイムを与えられ、3ポイントシュートを41.9%(13/31本)の高確率で決めており、オフェンスでもフィットしはじめている。
「もしオフェンスでうまくいかなくても、ディフェンスで数字に現れないところで泥臭くがんばれば、何かがチームのためになると思っています。まずディフェンスをやらなければ試合にも出られないと思っているので、そこは絶対にブレずにやって行こうと常に心がけています」
オフェンスでさらにチームを上向かせるために、「今はとにかくポジショニングを意識しています。ニックや祐眞さんら得点を獲れるメンバーに絶対ディフェンスが寄るので、ポジショニングをしっかりしていればノーマークになる。そこでシュートを打ち切って、しっかり決めることを今は大事にしています。また、ペイントタッチができる日本人選手が少ないので、今はそこを自分自身が補っていけるように練習しています」と常に課題を持ち、成長につなげている。それこそが移籍選手のメリットでもある。
川崎には練習場とは別に、Bリーグでは珍しいクラブハウスがある。栄養管理が行き届いた食堂に、練習の合間にくつろげる個人部屋はベッドとソファ完備。「はじめてクラブハウスに足を踏み入れたときはビックリしました。もう最高ですよ」と野﨑が驚くほど、充実した環境だ。移籍前から川崎のYouTubeで見ていたこともあり、「ウェイトルームや食堂などに自分がはじめて入ったときは、子供じゃないですけど『スゲェー』って感動しましたね」。とどろきアリーナの演出やファンの多さもこれまでとは異なる規模感であり、ウォームアップ中はコートから見える景色を楽しんでいる。
「ファンの方が掲げるタオルを見るのがおもしろいです。どんな人が誰のタオルを持っているのかなと見渡し、やっぱり(篠山)竜青さんや祐眞さんが多いなと思ったり、自分のタオルを見つけたときは本当にうれしいですよね。これまではなかなか経験したことのない観客数であり、応援されているなとすごく感じます」
FE名古屋でも群馬でもファンの声援があり、そこで積み上げた成果により自分の居場所を勝ち獲ってきた。居心地の良さや愛着に後ろ髪を引かれながらも、「零からスタートしたい」と意欲を持って新たな環境に飛び込んだ移籍選手たち。その決断に後悔しないように、1日も早くチームやファンに認められるように、全力で打ち込んでいる。
文・写真 泉誠一