「華衣さんとはすごく前から具体的に話をできていたわけではないんです。以前私がフロントスタッフとして働いたときに、それぞれの担当者がすぐに連絡が取れるように横のつながりがリーグで管理されている状態を見ていた中で、チアリーダーにも同じく横のつながりがあるといいなと感じました。華衣さんはもともとよくアドバイスをいただいたりご飯に行かせていただいて、そのようなお話をしたこともあって、これから先の新しい世代が頑張って引っ張っていってほしいということもよく言っていただいてたんです。その責任感みたいなものもあったので、これまでのディレクターさんやチアリーダーたちが作り上げてくれたものを、私たちがしっかり進化させていかなければならないと思いました。
島田チェアマンは、お会いした際にはいつも『チアの魅力は僕もよく理解しているから』と言ってくださっていて、私の想いも丁寧に聞いてくださっていました。そしてとある日に社団法人設立のきっかけとなるお言葉をいただき、『今やるしかない!』とその日の夜に華衣さんに連絡したところ、『私もやるよ』とすぐに力を貸してくださったんです」
立場ある人間としての責任感に突き動かされているとはいえ、機を逃さないこの行動力には感服するばかり。しかし、自ら「子どもの頃は人見知りで、自己紹介もできなかった。基本はあまり前に出るタイプじゃないです」と語るように、素顔のFukaは決して前のめりな性格ではない。「突発的に動く力だけは何故かある(笑)」というFukaは、ことチアリーダーの話になると若干人が変わってしまうところがあるようで、その言葉にも熱がこもる。
「チアリーダーも無償の愛というかボランティア精神で頑張ってる中、なかなか報われないこともあるし、ちょっと悲しいなって思うような出来事も起きたりして、変えていかないといけないことがあるって変な正義感が生まれて(笑)。チアの世界は自分の夢が叶って、成長できた場所でもあるので、これからの子たちにより良い世界を残してあげたいし、応援してくださる方にもチアのことをもっと理解していただきたい気持ちが強くて、やれることはやりたいんです。同じ想いを持っていても一歩が踏み出せなかったという方もいたから、『じゃあ私がやります』というわけじゃないんですけど、誰かがやらないといけないし、それは今なんじゃないかなって。私はパフォーマンス面ですごく上手だったとか、見た目が整ってるとか、いろんなスキルがあるという自信は全くないので、この世界に貢献できる役割があるんだったらやりたい。そのためには周りにいるいろんな才能を持つ人たちの力を借りないといけないけど、そのきっかけになれるんだったら『やりませんか』って言う人になろうと思うんです」
自称・人見知りのFukaがこうして自らアクションを起こし、多くの人に働きかけるようになったのも、チアリーダーとしての活動そのものが影響している。踊ることが好きでチアの世界に足を踏み入れたFukaだが、チアリーダーに必要とされる資質を追い求めていくうちに、Fukaの内奥にあったものが表出してきた。
「この世界に入って自分が変わったというのはありますね。チアリーダーにとって大事なのはパフォーマンスだけじゃなくて、気持ちの持ち方とか周りとの関わり方、思いやりや協調性、細かいところまできちっとすること。私もそういうところはわりとちゃんとしたいタイプで(笑)、それが自分にはまったし、チアリーダーに会うと元気が出るというのは自分も実感していることなので、メンバーとレッスンしたり違うチームの人と会ったりするのがすごく好きで、本当に良い世界。ここで自分は変わったなって思います」