第7節の熊本ヴォルターズ戦を2戦とも点差をつけて勝利し、5連勝まで伸ばした越谷アルファーズ。ここまでの10勝3敗という成績は、B1昇格を狙うチームとしては決して悪くないだろう。ただ、B1優勝の経験を持つ分、高いハードルを設定している安齋竜三ヘッドコーチは「この2試合はディフェンスで我慢できて、自分たちのやるべきことをある程度長い時間できた」と成長を感じつつも、選手の意識の面に関しては「今のままではまだ全然」と全く満足していない。練習に取り組む段階から、安齋HCが選手に要求するレベルは非常に高い。
その中で、シーズン開幕後にチームに加わった小寺ハミルトンゲイリーはキーマンになり得る選手だ。2009-10シーズンに日本でのキャリアをスタートさせた小寺は、途中海外でのプレーを挟んではいるが、仙台89ERSに在籍した昨シーズンまで計12シーズンにわたって日本でプレー。2020年に日本国籍を取得し、一昨シーズンには琉球ゴールデンキングスでチャンピオンシップファイナルの舞台も経験している。なお、そのときの敵将が安齋HCである。
熊本との第2戦では、アイザック・バッツがファウルトラブルに見舞われたことにより、越谷の一員となってからでは最長の18分37秒出場。得点はフリースローの1点だけだったが、7リバウンド3アシストをマークし、過去にトリプルダブルを連発したオールラウンダーの片鱗を見せている。長いキャリアを支えてきた様々なスキルは、越谷に多くのものをもたらす。
「経験がある選手なので、練習中もコミュニケーションをしっかり取ってくれますし、ディフェンスでこの場面はこれが必要というのをこちらが言わなくてもわかってくれていて、すごく助かってます。オフェンスでもパスの上手さがあって、たまに狙いすぎてターンオーバーになることもあるんですが、チームのアシストがちょっとずつ増えているのはゲイリーがいるところが大きいかなと思います。今日みたいにアイク(バッツ)が抜けてしまうとインサイドの弱さが出てしまうチームなんですが、ビッグマンのところで誰かがダメでもそこを補える選手が来てくれたというのは、チームにとってプラスになってると思います」(安齋HC)
36点もの大差をつけて勝った第2戦の後、小寺は「楽しかった」と試合を振り返った。39歳という年齢のこともあるのか、「そこまで期待されているわけではないのはわかっている」と控えめに語る小寺は、「今日はバッツ選手のファウルトラブルもあって自分のプレータイムが増えた。このためにこのチームに来たと思うし、こうしてチームを助けることができて良かった」とチームに必要なピースの1つとしてプレーすることに、自身の存在意義を見出している。経験値の高い選手として、チーム内でどのような役割を担うべきなのか、それを小寺は理解している。
「素晴らしい若手の選手がいっぱいいるので、彼らが活躍できるようにリーダーシップを取ること、声を出して引っ張ること、ディフェンスでペイントを支配すること、そういうスタッツに残らないような仕事をするために自分がいると思う。そういう意味で、チームに貢献できていると思います。シーズン途中にチームに加入して、プレシーズンゲームもせずにチームに合流したので、まだチームメートのことを理解していく段階。シーズンが進んでいく中で、もっと良い連係が生まれてくると思うので、そこに期待してください」