すでに会場を埋めるファミリーたちは歓迎し、『トーマス・ウィンブッシュ』の名前が入った応援ボードやタオルなどが観客席から多く見かけられた。
開幕から3週間を経て、佐藤ヘッドコーチは「チームプレーヤーであり、プレー面だけではなく、ベンチでも交代してきた選手にすぐ声をかけてくれている。そのリーダーシップを含めて、本当に欠かせない選手になってきている」と信頼を寄せる。ウィンブッシュ自身もコミュニケーションを大事にしており、「試合中は浮き沈みがあり、良いときがあれば悪いときもあるものさ。常に声をかけてひとつになることが大事であり、それが強いチームや勝つチームの要因のひとつでもある」と鼓舞しながらチームを上向かせている。
開幕から素晴らしい活躍を見せるウィンブッシュだが、「まだまだ課題はある」と佐藤ヘッドコーチは言い、今後も本来の力を引き出していく。「求められたプレーをすることが第一であり、その時々で正しいプレーをするのが僕の仕事」というウィンブッシュは、「チームの起爆剤になりたい」と意欲を燃やしていた。
「ベンチから出るときも、スタートで出るときもあるが、常にチームにエネルギーを与える起爆剤のような存在になりたいんだ。課題点としては、ディフェンスリバウンドへ行く意識がまだ弱いかな。コーチからも、『もう少しリバウンドに入って欲しい』と言われており、今日の試合(※10月20日の富山グラウジーズ戦)でもあと2〜3本は獲れていた。チームとして日に日に良くなってきており、勝つことが今は1番大事である」
フォワードとしての課題は明確になっており、藤井祐眞やキャプテンの篠山竜青らガード陣が体現するような飛び込みリバウンドやルーズボールもまた、川崎のチームカラーである。意識さえすれば、すぐにその色に染まることだろう。今シーズン限りでの引退を表明した “KING” ニック・ファジーカスのラストダンスに、Bリーグ初制覇という華を添えるキープレーヤーがやって来た。
文・写真 泉誠一