一番乗っていたヴィック・ローに託した逆転シュート
昨シーズンのBリーグを制した琉球ゴールデンキングス。チャンピオンメンタリティーが備わった選手たちは堂々とプレーをしていた。「クロスゲームになっても全然自信を持っています」と桶谷大ヘッドコーチのコメントからも、その変化がうかがえる。しかし、サンロッカーズ渋谷との第2戦(10月15日)は「ちょっと過信になっていた」と言うように、最後の場面で課題が残った。残り1分4秒、岸本隆一の3ポイントシュートで79-74、琉球が5点リードしていた。
互いに攻撃チャンスはまだあるが、残り時間は少ない。2点を奪われても、2回の攻撃で抑えれば1点差で逃げ切ることができる。「それなのに3点をあげてしまったのは反省点」と桶谷ヘッドコーチが指摘するシーンが、残り27秒。田中大貴に決められた3ポイントシュートだった。前のめりでディフェンスに来たホームのSR渋谷に押され、残り9秒には81-82と試合をひっくり返されてしまう。過信を払拭し、自信を取り戻して迎えた琉球のラストプレー。
「今日のゲームで1番乗っていた選手が誰かと言えば、やっぱり彼やった。もちろん岸本の選択肢もあったが、少しターンオーバーが増えていたので、もう最後は彼に任せようと思った。ボールピックからと1on1のどっちが良いかを聞いたら、彼が1on1を選択し、そのまま行ってくれた」
桶谷ヘッドコーチがいう「彼」とは、昨シーズンのファイナルを戦った千葉ジェッツから移籍してきたヴィック・ロー。1on1から得意のミドルショットを打ち、ライアン・ケリーにファウルされながらも決め切った。フリースローもしっかり沈め、残り5.5秒。ケリーの3ポイントシュートは外れ、84-82でクロスゲームを制した琉球が4連勝を飾った。
対するSR渋谷のラスト9秒のディフェンスについて、ルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチは「まだ2つファウルできる状況だった。相手のスローインに対し、ボールが入る前にファウルをしないこと。ボールが入ってドリブルがはじまったら、すぐにファウルができるように準備すること」を指示。しかし、ファウルのタイミングがシュート後の最悪のケースとなり、逆転を許す隙を与えてしまった。
SR渋谷はジェームズ・マイケル・マカドゥがインジュアリーリスト入りし、ケリーはチーム最長35分44秒出場。日本代表のジョシュ・ホーキンソンも35分間コートに立ち続けて奮闘する。昨シーズンはB2のライジングゼファー福岡でプレーし、B1へ復帰を果たした永吉佑也に対し、「4番目のビッグマンとしてすごく重要な役割を担っている」とパヴィチェヴィッチヘッドコーチの期待も高い。スタッツこそ2点・1リバウンドだったが、永吉のプラスマイナス+/−(※出場時間内のチーム得失点差)は+8。この試合で唯一、プラスの貢献度をもたらせ、チャンピオンチームと対戦した琉球戦の活躍をパヴィチェヴィッチヘッドコーチも評価する。「佑也は高いテンポのバスケットができ、良い雰囲気をもたらしてくれている。このチームにとって、すごく重要な存在だ」と続け、今後さらにプレータイムが伸びることも示唆した。