A千葉は結果ではなく、過程にコミットしてきた。レマニスヘッドコーチ曰く、「結果は自分たちでコントロールできないからこそ、試合に向かう過程においてどれだけハードワークできるか」にフォーカスする。第1戦に敗れたあと、逆転するためには2試合連続勝たねばならず、「80分の戦いというフレーズを過去には使ったこともありました」という大塚は、A千葉では異なるスタンスで臨んでいた。
「クォーターファイナル第1戦で長崎は、熊本(ヴォルターズ)にリードされていたが、17点差をひっくり返しています。それに対する警戒があり、まずディフェンスから入り、目の前のことにフォーカスして集中力を切らさず、ゲームを遂行することだけを考えていました」
どちらも譲らぬ激しい試合となった最終戦。同点決着のないバスケであり、必ず雌雄が決するプレーオフ。ファスト・ブレイク・ポイント30点、ターンオーバーからの得点も27点、43.8%の高確率で14本の3ポイントシュートを決めた長崎が、レギュラーシーズンで積み上げてきた強さを見せる。91-86でライバル対決を制した長崎が、史上初のリーグ参戦2年目での最速B1昇格を決めた。敗れたA千葉も最後までエナジー全開で戦い抜き、同期対決が来シーズンは見られないのが少し寂しい。前田ヘッドコーチはライバルであり、互いに高め合える存在に感謝する。
「同じ時期にチームが誕生してともにB2へ上がり、お互いに意識し合うクラブ同士であり、どちらも本当に素晴らしく、会場の雰囲気など全てが高いレベル。一緒に昇格できれば良かったが、今後もライバル関係は続く。結果に関係なく、A千葉とは切磋琢磨していける良い関係である」
敗れたA千葉はもう一度、B1昇格が目標となる。クラブとして「5年でB1優勝」を掲げており、3年目となる来シーズンこそ這い上がらなければならない。昇格はできなかったが、まだまだホームゲームは続く。5月20日(土)より、西宮ストークスとの3位決定戦が待っている。
B2プレーオフのファイナルへ勝ち上がったもう1チームは佐賀バルーナーズであり、長崎とともにB1昇格を決めた。ファイナルの舞台はオープンしたばかりのSAGAアリーナ。5千人を超える応援を背にした佐賀はB2優勝を狙う。長崎も、A千葉の思いとともに最後の戦いも負けられない。
文・写真 泉誠一