2度目に話を聞いた3月25日のアルバルク東京戦の際には、自身の国内でのキャリアの中で最もレベルの高い舞台であることを踏まえつつ、周囲への感謝を口にした。千葉J戦の際にも「桜井(良太)や橋本(竜馬)を中心に、チームがよくまとまってくれているので助かっている」と語っていたが、試合を重ねるごとにその気持ちは強くなっているようだ。
「今目の前にいる選手と対戦相手を見て、毎試合良いゲームができるかどうかというところに集中していて、B1だからということまではなかなか考える余裕がないというのが正直なところです。ただ、B2などでHCをやらせていただいたときとは環境などいろいろ違うと思うんですが、チームの規律をはじめコーチとして大事にしないといけない部分は変わってないと思います。今までのチームももちろんそうでしたし、レバンガの選手・スタッフが高いレベルでやろうとしてくれていることに感謝してます。前任の佐古HCが作り上げてきたものが浸透していて、プレー以外の部分、人間性も含めたチーム作りに関して、周りに助けてもらいながら取り組めている。今までのチーム以上にバスケットに集中できているのかなと思います」
4月に入り、リーグ全体最下位の新潟アルビレックスBBに連敗したかと思えば、群馬クレインサンダーズに連勝するなど、北海道は波が大きい状況。今シーズン最少得点に終わった4月19日の宇都宮戦の際には、チームとして取り組んできた成果を安定して発揮できない難しさを、改めて感じていることを窺わせた。
「アップダウンは今に始まったことではなくて、昨シーズンもそうでした。全員がやるべきことを遂行レベル高くできたゲームは、今シーズンも特にバイウィーク明けの数試合は見られたと思います。それが続かないのが、僕たちの弱い部分。それが試合単位でも起きるし、1つのゲームの中でも起きてしまう。僕自身も複雑なことは要求せず、やるべきことをよりシンプルに徹底していくほうが合っているのかなと思いますが、良くない時間帯がどうしても出てくるというのが、今の勝率にも反映されていると思います。いろんな要因があると思いますし、メンタルの部分に左右される選手もいるのが実際のところで、そこは僕がコントロールしないといけないんですが、まだ解決できていないのが現状です」
それでも、例年この時期はシーズンで最もタフなスケジュールであり、次の試合は容赦なくすぐにやってくる。特に、宇都宮戦の後は茨城と仙台89ERSが相手。東地区最下位脱出のためには落とせない4試合だが、ホームで戦えることは心強い。多くの人に支えられながら、小野寺HC代行はこの大勝負に立ち向かう。
「こういう苦しい戦いが続く中でも、多くのブースターさんが応援してくださっているし、今日負けても、それを切り替えられる選手が揃っていることは非常に助かってます。内容の伴ったゲームをすることはもちろんなんですが、結果にこだわってまずは土曜の茨城戦に集中して臨みたい。一つひとつ丁寧に戦っていきたいと思います」
文 吉川哲彦
写真 B.LEAGUE