足りない部分を補って作る千葉ジェッツのケミストリー
天皇杯決勝を戦ったばかりの両雄が、終盤へ向かうBリーグでふたたび相まみえた。天皇杯では87-76で千葉Jが勝利し、4大会ぶりの王座奪還に成功。20日ぶりの対戦は、6千人を超えるファンを集めた千葉Jのホームゲーム。天皇杯同様にギャビン・エドワーズをケガで欠き、2度目の対戦はその天皇杯で活躍した原修太もコートに立つことがなかった。
代わってルーキーの小川麻斗が、はじめて先発を託される。途中交代でコートに入ってきた米山ジャバ偉生も、同じく21歳のルーキー。ケガ人が多い状況ながら、若い選手たちがしっかりとつないでいく。いぶし銀の活躍を見せたのが、36歳ベテランの荒尾岳だ。ケガ人の穴をルーキーもベテランも関係なく、一人ひとりが足りない部分を補いながらチームケミストリーを高めている。琉球との初戦は序盤にリードを奪われ、最後に追い上げられても、慌てることなく信じる自分たちのバスケを遂行した千葉Jが89-85で勝利した。
試合後、千葉Jのジョン・パトリックヘッドコーチはブースターに向け、記者会見でも荒尾、小川、米山の名前を挙げて称える。スタッツに目を落としたパトリックヘッドコーチは+/-(プラスマイナス/コート上にいる時間帯の得失点)に注目し、ベンチプレーヤーの活躍に目を細めた。
「麻斗、岳、ジャバといった普段はさほど出ていない選手が活躍してくれた。ジャバも麻斗もプラス、一番大きかったのは(西村)文男。得点はフリースローの1点だけだったが、彼がコートにいるときはプラス14点であり、攻守に渡って良い仕事をした。(クリストファー)スミスは20分の出場で20点を獲ったのも素晴らしい」
Bリーグ最多となる24連勝記録を樹立し、琉球との初戦を終えた時点ではまだ5敗しかしていない。「若い選手や普段それほどプレータイムがない選手にとっては、良いチャンスになっている」というパトリックヘッドコーチは、ケガ人が多い状況をポジティブに捉えている。「私自身もチャンピオンシップの準備のため、そして若い選手たちや岳にとっても自信をつけることを大きなテーマとして考えている」と続け、まだまだ未完成である。
負けた悔しさを一番知る琉球ゴールデンキングス
「試合の入りはインテンシティの高いディフェンスをし、富樫(勇樹)君のところにストレスを与えながら良いディフェンスだった。オフェンスでも、プレーのエクスキューションが高いところはアドバンテージを取れて良いシュートを打つこともできていた」
琉球の桶谷大ヘッドコーチがこう話すとおり、初戦は第1クォーターに8点のリードを奪う。第2クォーターに逆転されたが、その差はたった2点の射程圏内。しかし後半開始早々、千葉Jのヴィック・ローが起点となり、「スピードのミスマッチを狙われた」ことで引き離されていく。すぐさま、今村佳太にマッチアップするよう指示を出した。「前から当たったことで、簡単なボール運びやプレーの入りのディフェンスのところでプレッシャーをかけることはできた。だが、その前に開かれた点差が最後まで尾を引いてしまった」と桶谷ヘッドコーチは敗因を挙げる。ほんの少し対応が遅れたことにより、相手に流れを持って行かれてしまったことを今村も悔やむ。