学生時代から目標としている舞台から、「今は一番遠いところにいます」と平良は現実を受け止める。しかし、B3リーグも年々レベルが上がっていることは多くの選手やコーチが口を揃え、高校や大学時代に全国大会で活躍した選手が増えている。「一番ありがたいのは、上のリーグで試合に出られないよりも、今はプレータイムをもらって試合の中で経験させてもらえることで、学ぶことも多くあります」と話すとおり、実戦を通じた成長も実感していた。
湘南ユナイテッドBCとともにB2、そしてB1へ昇格する道もあれば、プレータイムを与えられているからこそスタッツを残し、上位リーグからオファーを受けるチャンスもある。目標とするB1へ向け、「自分が上がっていくのも大事ですけど、まずは所属するチームを勝たせられるようにならなければ、選手としての価値も上がっていかないと思っています」と平良は考え、今ある環境で全力を尽くすことが近道でもある。
2014年、平良はU17ワールドカップに出場し、世界トップの同年代と対戦した経験を持つ。当時の仲間は今、B1だけではなくNBAでも活躍している。そう、八村塁(ロサンゼルス・レイカーズ)と一緒に日の丸を背負ってプレーした。そんな仲間たちの活躍を見れば、「あらためて、ここにずっといて良いのかな」と胸の内を明かす。
「でも、一つずつ上がっていくしかないとも思っています。いきなりB1に行ってスタメンで出られるわけではないし、それは現実的ではない。まだ25歳であり、30歳でもバリバリ活躍している選手も多くいる中で、あと5年。その期間で彼らに追いつくためには、どうやってうまくなっていけばいいのかを考えていますし、B1やNBAで活躍する仲間たちが刺激になっています」
10代で世代別日本代表に選ばれた平良と伊藤は早熟だったのか、ここから経験を積み上げて大器晩成型として未来に花を咲かせるのか。その答え合わせはまだまだ先である。今ある環境で思いっきり悩み、同じくらい楽しんでもらいたい。
彼らが活躍する湘南ユナイテッドBCは、今シーズンも残り4試合となった。4月1日・2日はアリーナ立川立飛で立川ダイスとのアウェーゲームに臨み、4月7日・8日はホームの秩父宮記念体育館にベルテックス静岡を迎えるラストゲーム。高校時代から名を馳せてきた彼らが、B3リーグでもがきながらも真摯にバスケに向き合っている。
文・写真 泉誠一