現在の勝率や順位を加味すれば、川崎を苦しめたこの試合は良い戦いだったと労いたくもなる。だが、「悪くない戦い=ナイスゲームだったでは終わって欲しくない」と晴山は悔しさを露わにする。試合後、コーチ陣が戻って来る前に選手ミーティングを行い、危機感を共有した。
「この試合は、別に最後のシュートを外した人が悪いとか、最後のリバウンドをミスした人が悪いとかじゃなくて、全員が第1クォーターの最初から1回はミスしている。だから、そこは自分も含めて反省をして、次の試合は全員がミスゼロで臨めば、勝てる試合はもっともっとある。だからこそ、しっかり反省しないといけない。ナイスゲームだったと満足して帰って欲しくない。この敗戦をしっかりとみんなで受け止めて欲しい。先週の滋賀戦で勝ったけど、残留争いを抜けたわけでもないし、緊迫する試合は今後もどんどん続く。今日は滋賀が勝ったことで、もう1ゲーム差しかない。毎試合毎試合を天皇杯決勝の雰囲気で挑んでいかないと、本当に自分たちはB1に残れない」
首位の川崎を相手に惜しくも敗れたが、晴山の印象は「川崎らしい勝ち方を知っているゲームでした。なんか僕たちはわざと乗せられていたのかなと思うぐらいうまく乗せてもらっていたのに、そこで勝ち切れなかったのはまだまだ8勝しかできていないチームの現状を痛感しました」という差がある。「やっぱり勝ち方を知らなすぎる。天皇杯の決勝を戦った千葉vs琉球のバチバチした試合を見て思ったのは、セットプレー云々じゃないところ。ひとつのルーズボールだったり、リバウンドだったり、そういった50/50のボールにどれだけ喰らいつけるかどうか。最後に勝利の女神が微笑んでくれるプレーは、高校バスケから同じ。そこをもっともっと真剣に取り組んでいかなければいけないと思いました」というのが今の富山の現状でもある。富山が掲げる「喰らいつけ」をもう一度思い出し、当たり前のことを徹底し続けるしかない。
一番大事なことはチームメイトへの信頼
晴山がプロとして歩みはじめたのが川崎である。今シーズンはじめて古巣のホームへ乗り込み、「ホントにここが好き!」と感慨深い。
「ルーキーシーズンからすごくお世話になった場所ですし、僕の足りないことを本当に教えられました。当時、辻(直人)さん(広島ドラゴンフライズ)がいて、シューターとしていろいろアドバイスもいただきました。(篠山)竜青さんには試合前のマインド、祐眞さんや長谷川さんにはディフェンスファーストの姿勢を教わったことは今でも大事にしています。そんな彼らが、今でも前線で活躍できていることがやっぱりすごいことですし、やり続けることがどれだけ大変かを教えてもらいました。ここでプレーするのは、やっぱり気持ちいいですね」