危機感を共有した試合後の選手ミーティング
侍ジャパンが世界一になったその日の夜、B1は春の嵐が吹き荒れた。千葉ジェッツは仙台89ERSに敗れ、連勝記録は24でストップ。東西最下位のレバンガ北海道と滋賀レイクスは上位チームを倒し、大きな1勝を得た。この夜だけで、半分となる6試合がアップセットを起こしている。WBCで盛り上がったアメリカでは全米大学選手権が行われており、64チームから16チームに絞られた。4地区のうち第1シードの2校が早くも敗れ、あちらも波乱続きで目が離せない。WBCロスは、Bリーグをはじめとしたシーズン真っ只中のバスケで解消できる。
中地区首位に立つ川崎ブレイブサンダースに対し、まだ8勝しかしていない同7位の富山グラウジーズが冷や汗をかかせた。残り3分までリードをしていたのは、富山の方だった。
今月、香川ファイブアローズから移籍してきたマイルズ・ヘソンが20点を挙げ、4本の3ポイントシュートを沈めた小野龍猛は17点のシーズンハイをマーク。ケガから復帰まもないジョシュア・スミスがペイントエリア内を制し、リバウンドでは38-29と富山が大きく上回る。しかし川崎は、終盤に長谷川技と藤井祐眞が連続3ポイントシュートを決め、リードを奪う。ターンオーバーなどミスで巻き返せなかった富山が81-85で敗れ、35敗目を喫した。
今シーズンを通して課題となるターンオーバーは、23本。「これだけの数が出てしまい、それが勝負どころで出てしまったのが敗因。このターンオーバーはチーム全体としての責任である」と高岡大輔ヘッドコーチ代行はイージーミスが続いた現状を重く受け止めていた。
富山はシーズン途中に浜口炎ヘッドコーチの契約を解除し、スミスやブライス・ジョンソンなどケガ人も多く外国籍選手の入れ替わりが激しかった。特別指定で加入したばかりの喜志永修斗を先発で起用し、後半になってなおチームケミストリーを構築している最中である。ゆえに、パスなどが合わない部分も否めない。高岡コーチも、「ゲームの中で深めているのが実情」と連携に対しては目をつぶっていた。しかし、川崎戦では「バックコートでの簡単なターンオーバーからレイアップを与えてしまう。想定していない失点というか、いただけないところがあった」という質の低いミスは見逃すことができなかった。
キャプテンの晴山ケビンも「外国籍が入れ替わり、新しいチームとなってまだまだ日は浅いですが、それは言い訳にならない。どうしたいかをその場で聞かないと、彼らの考えていることは以心伝心では伝わらないし、言葉にしなければ分からない」と積極的に声をかける。オフェンスでのミスは目立ったが、コミュニケーションを取ったことでディフェンスでは良いプレーが見られた。川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは、「準備していたゾーンオフェンスをやろうと前半に指示をしたが、途中でマンツーマンに変わったり、変則的なゾーンをされたりしたことでボールが全然中に入らず、点が止まってリズムを失い、苦しい展開になった」と手を焼いた。