メンバー入れ替えにより変更を余儀なくされたバスケスタイルだが、「誰が出てもリバウンドやルーズボール、ファウルストップは本当に小さいことですが、積み重ねていかなければ絶対に点差となって現れてしまいます。(現在首位に立つ)岩手(ビッグブルズ)はそこを徹底しているチームであり、まだ5位にいる僕らとの差なのかなと思っています」と田口は強調し、その甘さが静岡の敗戦につながった。
7年目の田口だがまだ25歳、発展途上である。生え抜き選手の成長こそが、横浜EXをさらに押し上げるカギを握る。
「石田ヘッドコーチには僕がしっかりと切り込んで、そこからパスや自らシュートに行くことを期待されていると思っています。最近は3ポイントシュートも入っているので(※昨シーズンから約10%増の成功率32.1%)、これからも積極的に打ち続けて、それに合わせて切れ込んでいくことが大事です。反省点として、流れの良いときと悪いときの差をしっかりと見極めてゲームコントロールしながら、良い選手がたくさんいるのでそこを活かせるようにしたいです」
現在のホームである横浜文化体育館はサブアリーナ。2024年4月、隣で工事中の5千席超を有する横浜BUNTAIがメインアリーナとしてオープンする。将来的にここが横浜EXのホームとなり、「横浜武道館に来るたびに、徐々に大きくなっている。そこで試合できれば素晴らしいことであり、それは選手みんなが認識している」と石田ヘッドコーチが言うように、昇格へ向けたモチベーションになっていた。田口も同様に、完成に向かう新アリーナに胸を高鳴らせる。
「どんどんアリーナが高くなっているので、すごく楽しみです。そのためにも勝たなければいけないプレッシャーはもちろんありますが、僕はそれを楽しみたい派。B2昇格を達成するためにも、しっかりと小さいことを積み重ねていきたいです」
2019-20シーズンはB2に復帰し、中地区4位の21勝26敗。18チームのB2全体でも10位の成績だったが、新アリーナ建設が白紙となったことでBリーグ基準を満たせず、クラブライセンス交付条件不履行によりB3へ転落。その後、東京から横浜へ移転し、メインアリーナのオープンが間近に控える今、会場を埋めるファンが増え、ユニフォームなどウェアに入るスポンサーも増えている。アリーナ完成から逆算すれば、今シーズンにB2昇格を決め、オープンする来シーズンのクライマックス~B2プレーオフで新たなコートに立ち、勢いそのままにトップリーグへ到達するのが最高のシナリオだ。
文・写真 泉誠一