小さいところが足りずに敗れたプレーオフ進出チーム同士の上位決戦
ベースボール世界一を懸け、WBCが盛り上がっている。侍ジャパンの試合がない日でも、東京ドームは多くの人でにぎわっていた。グッズを買い求めるためには、2時間も並ばねばならない。決勝ラウンドへ進んだ日本代表が準決勝の戦いに備えるアメリカでは今、大学バスケ世界一を決める戦いがはじまった。次々と起こる番狂わせに、朝から心臓バクバクの日々。バスケもベースボールも、アメリカも日本でも、桜前線とともに熱狂の3月(マーチマッドネス)を迎えている。比例するように仕事は進まず、ボスボタン(※職場でLIVEを見ているとき、上司が来たらダミーのビジネス画面へ回避するためのエマージェンシーボタンがNCAA.comにはネット黎明期から標準装備)に頼る同志も多いことだろう。
国内バスケはB1よりも約1ヶ月早い、4月14日よりポストシーズンがはじまるB3リーグが佳境に入った。今節を終えれば、残りはあと6試合。すでにプレーオフへ進んだ6チームは決まっており、残りは2枠のみ。プレーオフはいずれもレギュラーシーズン上位チームがホームで開催できるとあり、ここから一つひとつの勝利が重要となる。
プレーオフ進出を決めている上位決戦となった3位のベルテックス静岡を、ホームに迎えた5位の横浜エクセレンスの初戦。残り4分まではホームチームの勝ちゲームだった。「クロージングのところで小さいところの積み重ねが足りなかった分、この結果になってしまった」と石田剛規ヘッドコーチは敗因を挙げる。横浜EXが85-92で逆転負けを喫した。
横浜EX(※東京EXを含む)ひと筋7シーズン目の田口暖も、「ルーズボールやリバウンド、ファウルでストップさせられなかったことが敗因」と、石田ヘッドコーチ同様に「小さいところ」を反省する。一方で、「僕たちがやろうとしていることは40分間できたと思います」と自信をのぞかせていた。
翌日、田口は4アシスト、2スティール、7得点と活躍し、87-82で勝利。1勝1敗の痛み分け。残る6試合はいずれも下位チームとの対戦であり、白星を取りこぼさず勢いに乗ってプレーオフへ向かいたい。
プレッシャーを “楽しみたい派” の田口暖「B2昇格達成へ向け、しっかりと小さいことを積み重ねていきたい」
横浜へ拠点を移した昨シーズン、B3の15チーム中11位と低迷。しかし、今シーズンはすでにプレーオフ進出を決め、上位争いに食い込んでいる。昨シーズンから変わらぬ戦力は田口を含めて5人だけ、得点源となる外国籍選手は全て入れ替わった。巡り回って横浜EXへ復帰したライアン・ステファンの存在は大きく、静岡戦でもインサイドはもちろんポップして沈めた3ポイントシュートは3本を数える。コンビを組む田口は、「B3で優勝した(2018-19シーズン)のときからずっと一緒にプレーしているので、強いのは分かっています。加えてLJ・ピークなどを迎え、その新たな選手たちの活かし方をもっとうまくできるのではないかなと感じています」とポイントガードとして、チームケミストリー向上に努めている。ステファンとともに、ジョーダン・フェイゾンも復帰組であり、フィリピン出身アジア枠のジェイ・ワシントンは良いアクセントになっている。