昨シーズンは滋賀レイクスでプレーしていた澁田は、「チームを勝たせることがもちろん一番の大きな理由でした。自分が勝てるチームに所属する、それに値する選手になるという自分の成長を求めて移籍してきました」と希望を持ってオレンジ色のユニフォームに袖を通した。しかし、なかなか勝てず、理想や目標とはかけ離れてしまっている。それでも、新潟に移籍してきたからこそ得られていることだってある。
「なかなか勝てない状況ですけど、シーズン当初に比べて間違いなく自分の力は伸びているように感じます。チームをまとめることに対してはもちろん完璧ではないし、まだまだ至らないところをたくさんあるんですけど、でも自分なりに手応えを感じる部分もあります。今は負けているからといって、全てがダメとは捉えていません」
2015-16シーズンにオーランド・マジックのアシスタントコーチを務め、その前後はいずれもNBA Gリーグのチームで指揮してきたヘンリーヘッドコーチ。若い選手の育成には長けており、同じレールに乗って目標とすべきゴールへ突き進むことができれば、必ず上向く可能性を秘めている。若いチームにとって、ベテランの川村卓也が練習に参加していることが大きな支えにもなっており、澁田も歓迎する。
「まだ試合に出る契約には至っていませんが、若い選手が多いチームなので練習からすごく発言してくれますし、卓也さんの知識も教えてくれるので勉強になることがたくさんあります。個人的には盛岡南高校の先輩にもなるので、よりたくさん話しかけてくれるので、そこはすごく助かっています」
若く経験浅い選手たちにとって、降格圏内にいるがけっぷちの争いやこのプレッシャーは未知の世界である。このまま成績が上向かず、B2へ降格する可能性も否めない。だが、現状にもがくのではなく、今やるべきことを澁田も分かっていた。
「何かを変えて今すぐにめちゃくちゃ上達するとか、特別何か変化することは絶対にあり得ないと思っています。今シーズンやってきたことは大きく変わらないし、選手もこれ以上は変わらないので自分たちのプレーを信じて、コーチが求めていることを徹底していくことが一番大事です」
首位争いをする川崎と横浜ビー・コルセアーズはまだ24勝しかしておらず、ワイルドカード上位チームよりも勝率が低い中地区なのが救いである。同地区対決が続く終盤戦こそチャンスであり、若いチームだからこそ良い意味で吹っ切れて、勢いに乗ればこの状況を打破することだってできるはずだ。
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE