昨シーズンの新潟では平均25分38秒、8.1点、4アシストと上々の数字を残した納見。移籍した今は平均13分55秒、プレータイムが減れば自ずとスタッツも下がっている。「まわりからその点を指摘されたり、自分で思ったりすることもある」という納見だが、それも想定内だった。
「常に上位で争う高いレベルのチームであり、短い時間で自分のパフォーマンスを発揮することが自分にとっての挑戦になっています。今後、それが絶対に生きてくるとも思っています。スタッツが落ちたことなどは、今年1年はもう考えずにやろうと決めて川崎に来ました。 まわりはいろいろ言うと思うけど、それはチームが勝てばいいと思っていますし、そういう考えで今は開き直っています」
香川県出身、青山学院大学卒業後、笠井は四国電力に就職。しかし、バスケへの情熱が再沸騰し、2018-19シーズンからプロへ転向。名古屋ダイヤモンドドルフィンズから新たなキャリアを歩みはじめた。
「サラリーマンを辞めてプロになったときから常にチャレンジしたいという気持ちが強いです。移籍は、そういうチャレンジができるきっかけであり、ステップアップできる機会。チャレンジを楽しみ、成長しながらチームの勝利に貢献していきたいです」
川崎にも宇都宮にも、チームを熟知する司令塔が存在する。どっしり鎮座する彼らに危機感を与えることこそ、戦力が変わらぬ強豪にとっては必要である。
「竜青さんと祐眞さんの2人に負けないように、という気持ちはもちろんあります。信頼を勝ち取って試合に多く出る、そして結果を残すことは、バスケ選手である以上は大事なことです。練習から競争する気持ちは絶対に忘れずにプレーしています。優勝を狙えるレベルの高いチームに移籍してきて、経験を積むだけではなく、ここで自分の良さを出し続ければ評価も上がっていくと思っています。それこそが自分にとっての挑戦。強いチームで優勝したいし、経験を積むこともできる。いろんな思いが重なり、移籍してきました」(納見)
「バックアップガードというスタンスで移籍してきましたが、(鵤)誠司と2ガードで出る場面も増えています。そうなってくると、バックアップという思いが薄れてきました。スタートで出たいという思いは正直そんなにはないですけど、試合終盤の大事な時間帯などにコートに立っていたいという気持ちがブレックスに来て、試合を重ねて行くうちに強くなっています」(笠井)
2人とも勝負に関わる時間帯にコートに立ち、勝利に貢献したい思いは変わらない。覚悟を持って移籍してきた選手たちが、新天地で輝きはじめている。残る40試合後、どんな形でチームにフィットしているのかが楽しみだ。
文 泉誠一
写真 B.LEAGUE