「ギブアップしないで40分間戦ってくれた選手を誇りに思う」大野篤史ヘッドコーチ
前節のファイティングイーグルス名古屋戦でヤンテ・メイテンを、それ以前に金丸晃輔とカイル・コリンズワースをケガで欠く三遠ネオフェニックス。11月30日のサンロッカーズ渋谷は、82-87で敗れた。残り11秒、3点を追う三遠はサーディ・ラベナが3ポイントシュートを狙う。しかしリングに嫌われ、同点に追いつくことはできなかった。「本当に良いファイトをしてくれた」と大野篤史ヘッドコーチは惜敗に及第点を出す。
あと一歩及ばなかった点について、「自分たちがやらなければいけないベーシックなところにもっと意識をして取り組めば、この状況で勝ち切ることだって必ずできる。そこを疎かにしないことが一番重要になる」と大野ヘッドコーチは言及する。新生・三遠にとってはポジティブな敗戦でもあった。
「本当にギブアップしないで40分間戦ってくれた選手を誇りに思う。今後に向けて彼らにとってもステップアップになるゲームだったんじゃないかな」(大野ヘッドコーチ)
三遠のベンチスタッフを見れば、Bリーグ2020-21シーズンを制した千葉ジェッツのブレーンたちがずらりと並ぶ。bjリーグ時代の三遠(当時:浜松・東三河フェニックス)は、3度頂点に立った輝かしい歴史がある。Bリーグとなり、初年度こそ中地区2位でチャンピオンシップ(以下CS)へ出場したがそれ以降は低迷を続け、昨シーズンは西地区11位と最下位に終わっている。
選手もスタッフも刷新して迎えた今シーズン。大野ヘッドコーチが最初に感じたのは、「自分のプレーに対して固定概念を持つ選手が本当に多かった」こと。それを「ぶっ壊す」ところからはじまり、「闘志のメンタリティー」を植え付けたことで好転し、開幕から中地区の首位を争うチームへと変貌を遂げた。
外国籍選手がアイゼイア・ヒックスしかおらず、アウトサイドシュートにも長けているSR渋谷のビッグマンたちを抑えるのは厳しい状況だった。しかし、ルーキーの半澤凌太とベテランの根來新之助がライアン・ケリーとマッチアップし、前半の10得点だけに抑えている。「プランどおりに遂行してくれた」と大野ヘッドコーチも評価する。
昨シーズン、半澤と根来のプレータイムは平均6分程度。SR渋谷戦で半澤は先発出場して27分28秒、代わって入った根来は14分13秒、コートに立ち続けた。昨シーズンは平均1点だった根来だが、この日は8点を挙げる。日本人ビッグマンとして、太田敦也もふたたび輝きはじめている。特別指定の高橋快成(中京大学)に対しては、コーチ陣も先輩たちも執拗に声をかけ、アドバイスを送りながらみんなで育む。3連敗となったが、ベンチの雰囲気の良さが好調さを物語っていた。
懐刀の大宮宏正こそ鞘に収めたままだが、それ以外のロスター13名はいずれもスターターとして起用する。大野ヘッドコーチは「平等ではないが、ちゃんとチャンスは与えようと思っている。ただし、そのチャンスをつかむかどうかは僕の仕事じゃないんでね。自分でつかみに行きなさいとは伝えてる」という意図があった。しかし、まだまだ成長過程であり、ぶっ壊している最中でもある。