「選手として結果が伴わないことはあると思うんですが、そういうときにどんな姿勢でいるかというところを僕は見ています。彼はポジティブで、ケガで試合に出られなくても若手に声をかけてくれているところを見ると、キャプテンに任命して良かったなと思います」
当の俊野自身も、初めて在籍するチームで自らが何をすべきかということを考え、実践している。スコアラーからプレースタイルを変え、今は「チームを勝たせられる選手になりたい」という強い意志を持つ俊野は、自身が培ってきたものをチームに還元し、チーム全体の成長に寄与したいという意識が強い。
「自分がこのチームに持ち込みたいと思ったのが、勝つことへの意志と日々のハードワーク、1日1日の練習からしっかり取り組むということですね。これまで自分が体感してきた強度やクォリティーをチーム全体に浸透できたらと思って毎日やってます。実際に入ってみると人間的にも良い選手、ハードにやれる選手が揃ってるし、スタッフも一丸となって昇格を目指しているのが練習でも試合でも感じられて、切磋琢磨できていると思います。正直、B2とB3のレベルの差はそんなにないと思いますが、強度やスマートにプレーするということに関しては、エクセレンスはもっと良くしていける。自分たちがそれを体現することでB3全体のレベルも上がっていくと思いますし、お客さんにも楽しんでもらえるようなゲームをしていきたいです」
古巣の愛媛は、開幕戦で3点差の惜敗を喫した後に破竹の8連勝を飾り、第6節まではB2西地区の首位を走った。俊野の弟・佳彦を含む9人の選手が残留し、昨シーズンあと一歩届かなかったプレーオフに向けて勢いづいている。俊野も、かつてのチームメートたちの奮闘ぶりはできる限りチェックしているそうだ。
「昨シーズンはプレーオフを目指していた中、コロナの影響もあって試合ができなくて終わっちゃったので、今シーズンこそはという想いはみんな持ってやっていると思いますし、特に弟も含めて昨シーズン一緒に戦った仲間に関しては、その想いを叶えてほしいと思っているので、陰ながら見守ってます(笑)」
愛媛はこれまでにB1ライセンスを取得したことが一度もない。仮に来シーズンのライセンスも取ることができなかった場合、俊野は来シーズン横浜EXの一員として古巣と戦う可能性もあるということになる。当然ながら、そのためにはクラブのB2昇格が必須。俊野の決意は固い。
「ファンの人も喜んでくれるなら対戦したいですね。そうやって待ってくれる人がいるのであれば、しっかり上がって期待に応えたいです。自分もまだまだ成長できる部分がたくさんあると思うので、良い状態でその日を迎えられたらと思います。昇格と優勝、これはもう絶対にやります。一歩一歩近づいていると思うので、チームメートと自分を信じてやっていこうと思います」
文 吉川哲彦
写真 横浜エクセレンス