そればかりか、この二日間の試合を眺めるうちに、とんでもない邪推が湧いてきた。
ギャビン・エドワーズがまだ合流していなかったことからプレータイムの増えた荒尾岳、そしてラシードファラーズ。
この二人は本当に、ギャビンの代役に過ぎないのだろうか。
ムーニーとラシードがインサイドに構える時間帯は、ロー、もしくはクリストファー・スミスがアウトサイドで日本人選手相手にアドバンテージを取れる。
決勝で対戦した群馬クレインサンダーズにもトレイ・ジョーンズがいるのでその効果は限定的だったが、この帰化選手を運用したビッグ3でアウトサイドの外国籍選手に破壊力を求めるのは現在のBリーグにおいて有効な手段だ。
だが、もし千葉Jのインサイドがムーニーでなく、ギャビンだったとしたら。
もう一人のインサイドにラシード、そしてアウトサイドにローとスミス。
この破壊力の高すぎるコンボからはわずかばかりの慈悲も感じられない。
スティールされる危険地帯だらけ、そしてアウトサイドに二つのミスマッチ。
これまでのBリーグで見られることのなかった、新たなアドバンテージの取り方だろう。
あまりに暴力的な布陣なので、被害を受けたチームは公的な機関等への相談を検討してもよいかもしれない。
圧倒的に合法のため現実はなにひとつ変えられないが、きっとやさしく話を聞いてくれることだろう。
無責任な外野があれやこれやと思索を巡らせ、実際にはありもしない構想をもっともらしく打ち立てるのも、プレシーズンの正しい楽しみかたである。
不完全な状態にこそ補完する旨みがあって、まさに今は全国的に旬の時期であるのだけれど、それにしても千葉Jのそれは格別だ。
これまでの文脈を受け継いだ新チームは現段階でも十分に強そうだが一見したところまだ改善の余地があって、調整中の主力も控えている。
すでに確固たる地位を築きあげたとも言える強豪であるにもかかわらず、現状に抗いさらなる一歩を踏み出す彼らには、来年の5月にどんな景色が見えているのだろうか。
※写真は2021-22シーズンのもの
文 石崎巧
写真 B.LEAGUE