負けず嫌いが揃うバスケットボール界の中でも橋本竜馬の負けず嫌いは群を抜いていると言っていいだろう。福岡大附属大濠高校、青山学院大学、シーホース三河とエリートコースを歩き、何度も優勝の栄冠を手にしてきたが、いつの時代もコート上にいたのはあふれんばかりの熱量でチームを引っ張る “負けず嫌いの男” だった。その橋本が三河から琉球ゴールデンキングスを経てレバンガ北海道に移籍したのは2019年。初めて味わう連敗の苦しさと向き合い「葛藤の連続だった」と振り返る日々と「成長の手応えを感じている」と胸を張る現在。その3年の間に橋本はどんなものを積み上げてきたのだろうか。
開幕が近づいた今シーズン、レバンガでの “4年目” を選択した橋本に今の心境をたっぷり語ってもらった。
ネガティブなチームからポジティブなチームへ
── レバンガ北海道で4シーズン目を迎えることになりました。契約更新を決心したのはいつごろだったのでしょう。
橋本 正直に言えば(継続を)すんなり決めたわけではないんです。他からオファーもいただきましたし、自分のキャリアはもちろん、家族や応援してくださっている皆さんのことも考えましたし。シーズンが終わってからもしばらくは本当にすごく考えて決断したという感じです。
── 継続を決めた理由について教えてください。
橋本 レバンガでの3年間を振り返れば決して楽な道ではなかったですね。楽しいことより大変なことの方がはるかに多い3年間でした。だけど、チームをもっと強くしたい、強くなるための礎になりたいという気持ちでやってきたのは間違いないし、3年目に佐古(賢一)さんがヘッドコーチとして来てくれたことで『強くなれるきっかけ』をつかめたような気がしました。ただ、一歩上をいくチームになるにはもう少し時間が必要です。そのためにも4年目となる新シーズンもレバンガでプレーしたいと思ったんです。
── 「決して楽な道ではなかった」とおっしゃったレバンガでの日々をあらためて振り返っていただけますか。
橋本 ちょっと厳しい話になっちゃうんですが、1年目、2年目のときは、たとえ競った試合をしても、何ていうか「負けても仕方がない」という雰囲気がありました。多分自分たちのチームに自信が持てなくて、口では「頑張る」とか「勝つ」とか言っていてもどこかに『負けることが前提』みたいな気持ちがあったような気がします。もちろん『頑張って勝つ』という思いに嘘があったとは思いません。でも、自信が持てないことがブレーキをかけるというか、練習していてもネガティブなものが出てしまうのを感じました。みんな一生懸命やっているのに前に進めないみたいな。すごくキツい言い方をすれば『負け慣れしたチームの弱さ』があったと思います。
── 人一倍負けず嫌いな橋本さんだけに葛藤することも多かったのでは?
橋本 葛藤の連続でしたね。自分の思いをチームや選手にぶつけることも多かったです。バスケ以前の問題も含めて「レバンガをこういうチームにしたい」という話は何度も何度もしてきました。