そのために僕自身も落ち着いたプレーを心がけたいし、チーム全体の判断精度も上げていかなければいけないけれど、それはこれまでやってきたことを手放すという意味ではありません。ディフェンスで激しく仕掛けてオフェンスリバウンドを奪いにいくスタイルをこの3年で築いてきたわけですが、それとプレーの精度を高めることを両立させるのが理想ではあります。でも、多分、全部を求めすぎてしまうとどれも中途半端になる気がしているので、そこは役割分担でもいいのかなと思っています。ディフェンスで激しくやって、ガンガンドライブしていくのが得意な選手にはどんどんそれを出してもらって、落ち着くべきタイミングが来たら僕が役割を果たすというような。チーム全体としてのバランスが取れればよくて、全員が全員、バランスよくなりましょう、っていうのは必要ないと思います。みんながそれぞれの長所を出せるように、整えるというか、そういうやり方のほうがいい。その辺に対して僕がアプローチできる部分はあるんじゃないかと思っています。まだ今年をどういったスタイルで戦っていくのかは現時点ではわからないですけど、明確にチームカラーをはっきりしたほうが応援してくれているファンの皆さんにとってもわかりやすいし、チームにとってもやりやすいように感じます。
── ここ数年で石井選手の発信や、ファンの皆さんへの関わり方が変わった印象を受けましたが、なにかきっかけなどはあったりしたのですか?
きっかけはシーズンがコロナ禍で中止になってしまって、次のシーズンが始められるかどうかわからないという当時の状況でした。それまではシーズンが終わったらファン感謝祭をして皆さんに直接、感謝の気持ちを伝えることが当たり前だったのに、それすらもできなくなってしまった。ファンの方やいつも応援してくれている方たちになにか還元できるものはないんだろうかと考え始めて、今のようなアクションを起こしました。変わっていく状況にも合わせて、いろんなかたちで試しながらではあるんですが、まずは発信してみようかなと思って始めました。なんていうか、自己満みたいなところもあるんですけど、でも発信してみて、ありがとうございます、とかそういう言葉をもらえたりする。そうすると、やっぱりやってよかったなと思います。プレー以外の部分でのアスリートとしての価値みたいなものも感じることができて、かつそれがプレーにもいい影響を与えられていると感じています。
サンロッカーズ渋谷 #27 石井講祐
終始する更新と渇望
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文 石崎巧
写真 B.LEAGUE