ヘルシー(健康)なチームが強い ── はずなのだが、コロナ禍は状況が少し異なる。今シーズンのBリーグにおいて、60試合を全うするチームはなく、最多で59試合。東地区優勝までマジック2となった千葉ジェッツは、残る3試合を終えても45試合と一番少ない。東地区優勝や順位争いとともに、8つしかないチャンピオンシップの最後のスポットをめぐるワイルドカード争いも熾烈を極めている。
レバンガ北海道にホームで2連勝し、32勝24敗のサンロッカーズ渋谷はリーグ全体9位。勝ち星では3つ上回っているSR渋谷だが、29勝21敗で勝率の高いシーホース三河が同8位のチャンピオンシップ圏内にいる。しかし今節、富山グラウジーズとの2戦目に敗れた三河の勝率は58%となり、わずか0.9%差の57.1%でSR渋谷が追いかける。
試合数の少ない方が逃げ切る優位性がある一方で、一つの敗戦によって勝率が大きく変動するリスクもある。「1ヶ月前からこういう状況になることは想定していた」というSR渋谷の伊佐勉ヘッドコーチは、「負けたらゲームオーバーという状況。そこはもうやり続けるしかない」とチームの士気を高める。プレッシャーがかかる中でも萎縮することなく、SR渋谷の選手たちはアグレッシブにプレーし、勝利を呼び込んだ。「自分自身にも、相手にもしっかり勝とうという話をして臨んだ。40分間、選手13人が一丸になって戦い、良い勝ち方だったと思う」という伊佐ヘッドコーチが掲げるテーマは「メンタルバトル」。今の状況を的確に言い表している。
第2クォーター、ベンドラメ礼生が大きく手を広げ、身体をしっかりと当てながら、北海道の司令塔であり、東海大学の後輩でもある寺園脩斗に対し、簡単にボールを運ばせない激しいディフェンスに会場が沸いた。佐古賢一ヘッドコーチは、「ポイントガードのところを潰しに来られて、そこで弱気になってフォーメーションスタートの位置が高くなってしまった」と述べ、北海道にとっては厳しい試合となった。
101-73で勝利したあと、ヒーローインタビューに立ったベンドラメは「サンロッカーズの持ち味であるディフェンスでもしっかり盛り上がってくれる皆さんは、チームカラーをしっかりと分かってくれています。その声援を聞くことで、さらに1歩踏み出すことができるので、皆さんにすごく助けられています」と苦しい状況こそ背中を押すファンへ向けて感謝の言葉を贈った。