先頃Bリーグの2022-23シーズンのライセンスに関する発表があり、B3では準加盟9クラブのうち7クラブがB2ライセンスを交付された(残る2クラブは継続審議)。その1つである横浜エクセレンスに関しては、昨シーズンまではホームアリーナがBリーグのライセンス条件を満たさず、B3降格を2度も経験。ライセンス再取得のために今シーズンからホームタウンを神奈川県横浜市に移したことは、多くのBリーグファンが知るところだ。成績の関係で来シーズンB2で戦う可能性はもうなくなってしまったが、クラブにとっては1つ目標を達成したことになる。
3月4日と5日のB3リーグ第22節、横浜EXがホームゲームを開催したのは東京・板橋区の小豆沢体育館。東京エクセレンスの名を冠したクラブのプロ化から昨シーズンまでホームアリーナとしてきた体育館であり、最大収容人数が約1000人というこの体育館がBリーグのライセンス条件を満たさなかったことが横浜移転の要因だった。
しかし、たとえ小さい体育館であったとしても、8シーズンにわたってホームアリーナとしてきたことはクラブの歴史の1ページ。選手・スタッフからフロントやファンに至るまで、このクラブに関わってきた人にとって大切な思い出の地であることに変わりはない。そして、今回の主役は現在横浜EXに携わる人物ではなく、昨シーズンまでその一員としてプレーしてきたOBであり、この両日の対戦相手であるアイシンアレイオンズに移籍した長澤健司だ。8シーズンのプロキャリアをこの小豆沢で過ごしてきた長澤が、再びこのコートに立ったことに感慨を抱かないはずがない。
「ロッカールームがホームとアウェーで違うので、そこでまず違和感がありました(笑)。もちろんベンチも逆ですし。でも、ファンの人たちが温かく迎えてくれて、やっぱり特別な想いがある体育館です。前回対戦したときは僕たちのホームで、古巣との対戦ということはそこまで意識しなかったんですが、小豆沢となるとやっぱりめちゃくちゃ懐かしくて、楽しかったです」
今シーズン予定されていた横浜EXのホーム14節・28試合のうち、小豆沢での開催は4節・8試合。長澤が籍を置くアイシン戦が小豆沢開催となったことは幸甚だった。
「フェイズ(ジョーダン・フェイゾン、元東京EX)がアイシンに加入したときも縁を感じましたし、小豆沢が4節しかない中でその1つがアイシンなのは嬉しかったです。ここは実力以上のものを出させてくれて、特別な力を与えてくれた体育館。ホテルからの移動でここに着くまでにも、いろいろ思い出しました」
感慨を抱いたのは、かつてのチームメイトも同じだ。クラブの立ち上げに大きく尽力した宮田諭は、普段からクラブOBとは連絡を取り合い、試合もほぼ見ているという。「なので、会うのは久しぶりといっても懐かしいという感覚はあまりなかった」という宮田だが、長澤に関しては特に思い入れのあるチームメートの1人。アマチュアクラブ時代の3年間も含め、昨シーズンまでの11年間にわたって宮田と共闘し続けてきたのが齋藤豊と長澤の2人だけだからだ。
「最初にアウェーで対戦したときはマッチアップしたり、彼が違うユニフォームを着ていることにものすごい違和感があったんですが、ようやく慣れてきました。自分たちとの試合以外ではめちゃめちゃ応援していますし、彼が頑張っているのも知っているので、良い試合を重ねていってほしいですね」