昔から変わらずお茶の間を賑わせ続けるクイズ番組の数々。
最近では脳を活性化させるトレーニングなどともてはやし、視聴者の挑戦意欲を刺激するようなものも多い。
脳トレとおっしゃいますけれど、問題に正解するのって出題されたクイズを解くための前提となる知識がなければ基本的に無理じゃない? 結局は情報量の差であって思考する訓練になるかどうかはまた別の話ではなかろうか。
みたいな屁理屈を正解できなかったあとで毎回ブツブツと呟くくらいには、僕もその手の番組を気に入っている。
バスケットをクイズ感覚で見る、というと語弊があるが、似たような見方で捉えるのが好きだ。
一方のチームが展開する守り方に対して有効な手段を、ディフェンスの構造的な部分に着目して模索する。
基本的にはオフェンスが有利なスポーツであるバスケットにおいて、拮抗した力関係を持つチーム同士の対戦で「攻められない守り」は存在しない。
必ず何処かに守りきれない場所が発生するため、その急所を発見することができれば相手に対し優位性を得られる。
それは相手チームが出題するクイズに対し、これまで得ている情報を精査しながら解答していく作業とも近しいものがある。
最近のゾーンディフェンスって、特にそういった傾向が強いように感じる。
いたって単純な2-3ゾーンや3-2ゾーンなどは、国内トップリーグでの戦いにおいてはもはや「神頼み」程度の影響力しかもたらさない。
それくらい、問題を解決する手法とそれを実行する能力を持った選手で溢れている。
だが、オフェンスの優位性を妨げるための方法がマンツーマンだけでは手詰まりになりかねず、かといって普通のゾーンディフェンスを試みたところであまり意味がないので、変則的な守り方で相手に精神的な負荷を与えようとするチームが増えつつある。
12月4日、三遠ネオフェニックス対シーホース三河戦において三遠が講じたゾーンもその一つだろう。
三河がボールを運んでくる間は3-2ゾーンの形を取り、トップからパスが出された直後、3人の真ん中にいたセンターのジャスティン・ノックスが後ろのラインに下がって2-3ゾーンに変形した。
これにより期待できる効果は、3-2ゾーンに対する攻め方を三河に選択させたあと、自分たちがゾーンの形を変えることによってそのオフェンスを無効化することだ。
大抵の場合、それぞれのチームには3-2を攻めるための専用オフェンスがあり、それは2-3を攻めるためには有効でないことが多い。
3-2のためのプレーは2-3のためのプレーとは違い、もちろんマンツーマンを攻めるためのものとも違う。
「3-2を攻めてたはずなのになんか違う」の違和感はそれなりに影響を及ぼし、三河からいくつかのターンオーバーを誘ったことは、このディフェンスがある程度の成功を収めたと言っていいはずだ。
だが残念ながら、その違和感に勝敗に結びつけるだけの影響力を持たせられないほど、三遠の戦力は不運な故障者の多発により低下していた。