青春アミーゴ
譲次が大阪に移籍したと聞いて、少し心配になったことが実は一つあった。
それは僕にも経験があることなのだが、これから譲次はその体験をしやすい環境に身を置く。
本人は気にしていないかもしれないが、同期のよしみでお節介のひとつも焼いてみたくなる。
そうは言っても解決するために僕ができることなんて、なにひとつないのだけれど。
石崎 なんかさー、地元でやるってやりやすい? やりづらい?
竹内 まわりが言うてるほどって感じかね。
石崎 まわりはどんなふうに言ってるの?
竹内 プロモーション的にはチームもやってくれるやん、凱旋みたいな。でも自分的にはそういう意識はあまりなくて、新しいチームで再スタートみたいな感じかな。
石崎 その地元の友達とかはさ、いっぱいいるわけじゃん。
竹内 (笑) それに対して本当に「うん」って言えないよ。
石崎 そっか、友達つくんのがうまくないから(笑)
竹内 中学のときの友達が何人か、連絡はもちろんくれたけど。
石崎 そーゆーのすごい気まずいんじゃないかって思っちゃう。じゃあ自分が福井でチームができて帰ったら、なんかあんま見られたくねーなって思ったりする。
竹内 わかるわかる。すんごいわかる。
石崎 ねえ。
竹内 やっぱ中学んときの自分と全く違うわけやん。なんかそういう…いやすごいわかるよ、ほんま俺もそうやもん。ちょっと恥ずかしいし。
石崎 「今日見にいくねー」って言われたらなんかちょっと、うまくプレーできなさそう(笑)
竹内 「見にいくねー」は全然いいんやけど、見に行ったあと、観客席の近いところから話しかけられようもんなら…ちょっとわかるか? ちょっと嫌やな(笑)
石崎 いやなんか距離感違うよね。
竹内 そうそうそうそう、そのー、なんやろ。中学のときって同じあれやったんがさ、観客と選手でまたそこは違うわけやん。で、その「ジョージ!」って呼びかけられたときにこうなってたんがいきなりこうなるわけやん(※)。対応できない気はするよね。
石崎 なんか俺が見に来てくれた友達はすごい、なんていうの、「すごい人」みたいな見方をするんですよ。
竹内 そうそうそうそう。ちょっとあるやん。なんかそれ感じるやん、こっちもさ。だからそれも嫌やねん、ちょっと。
石崎 ね、中学校のときは普通に喋ってた人が。
竹内 なんか若干…いやわかるわかる(笑) すんごいわかる。
(※)「こうなってたんがいきなりこうなるわけやん」…… 観客(エンターテインメントを楽しむ側)と選手(娯楽の一部を提供する側)の目線から横並びの対等な目線になる。