スタートダッシュに成功したブロンコス「もう別のチームだと思ってください」新川敬大
2005年に6チーム(仙台、新潟、埼玉、東京、大阪、大分)からスタートしたbjリーグ。ラストとなった2015-16シーズンには24チームへと膨れあがった。初年度から参戦した通称オリジナル・シックスの中で唯一、プレーオフ進出を果たせなかったのが埼玉ブロンコスである。あまりに勝てなかったため、ついつい「埼玉ブロンコス、ナゼ弱い?」という記事まで書いてしまったのが2014年のことだった。
2016年、Bリーグ誕生とともにB3リーグに振り分けられる。昨シーズンからチーム名が「さいたまブロンコス」に変わり、チームカラーもグリーンから燃えるレッドへと一新した。しかし、5シーズン目はB3最下位に終わり、ブロンコスはあいかわらず弱いままだった。
「やっぱり勝てないとおもしろくなかったです」と、昨シーズンを振り返るのはキャプテンの新川敬大だ。迎えた2021-22シーズンは、ここまで5勝1敗(10月16日現在)と見違えるような快進撃を続けている。昨シーズンは一度も勝つことができなかったベルテックス静岡と横浜エクセレンスに早くも白星を挙げた。天皇杯では昨シーズン2位のトライフープ岡山を相手に、新川の3ポイントシュートブザービーターで競り勝った。開幕から好スタート切った今シーズンは、「もう別のチームだと思ってください。メチャクチャ楽しいです」と新川は満面の笑顔を見せる。
2020年2月23日の岐阜スゥープス戦以来、600日ぶりとなるアウェーでの勝利を飾った10月15日の横浜EX戦。「昨シーズンはアウェーで勝利したことがなかったので(0勝20敗)、まずはこの試合にフォーカスし、全員で試合に入ろう」と新指揮官の泉秀岳ヘッドコーチは選手たちを送り出す。その言葉どおり、第1クォーターは21-7と一方的な展開となった。第2クォーター、新加入のブラクストン・ハギンズの活躍で横浜EXに流れが傾きはじめる。「試合の入りはすごく良いんですが、その後のセカンドユニットがスターターと同じマインドやエナジーでプレーできない時間帯があります」と新川がいう課題が浮き彫りとなった。
横浜EXに追い上げられる中、泉ヘッドコーチが「リバウンド!」「ディフェンスから」と大きな声で、選手たちを鼓舞する。全員がアグレッシブにリバウンドに飛び込み、ボールへの執着心を見せた。「まずはリバウンドで負けないこと。リバウンドを取って、その後のチャンスをいかに増やしていくことを突き詰めています。今シーズンのブロンコスはリバウンドのチームです」と泉ヘッドコーチは明言する。
長島蓮や野原暉央など学生時代に名を馳せた選手ばかりであり、「B2経験者も多く、みんな基礎がしっかりできているので、チームルールを徹底すれば負けないという手応えを感じています」という新川も、京北高校時代は世代別日本代表に選ばれている。全員が自信を持ってプレーできており、課題の克服も時間が解決してくれそうだ。
平均年齢26.8歳、まもなく30歳の誕生日を迎える泉ヘッドコーチも含め、全体的に年齢が近い。「遠慮せずに、思ったことを練習中から言い合えています。その中で、ベテランの佐藤(文哉)選手が全体を見ながら、足りない部分をズバッと言ってくれます」と新川が言うように、試合中も率先して声を掛け合っていた。チームコンセプトとして、先に挙げたリバウンドの上に「コミュニケーション」を泉ヘッドコーチは掲げている。「選手同士で話さなければいけないことが浸透しはじめています」と手応えを感じるチーム力こそが、今シーズンのブロンコスの強さだ。