例えば4Q残り10秒。
3点負けていて、誰に3Pを打たせるかの選択を迫られたタイムアウト。
チームにはA崎とB崎という2人のシューターがおり、どちらの選手も3Pの平均確率が40%。
この日の試合で、A崎はこれまでに5本中5本の3Pを成功させているが、一方のB崎は5本打って1本の3Pも決めれていない。
味方のオフェンスで再開されるゲームのクライマックスで3Pシュートを沈め、延長戦に持ち込むためには何崎にチームの命運を託すべきなのだろうか。
一般的には、3Pを5本打って5本決めるなど絶好調以外のなにものでもない。
1本中1本とか、2本中2本くらいなら試投数が少ないためによく起こる現象ではあるが、経験者の肌感覚的には3本中3本くらいから「おやおや?」と異変を察知しだす。
4本中4本、5本中5本と連続で決め出すようなことがあればその男はおよそ全盛期に突入しており、安西先生に対し「俺の栄光時代は今なんだよ!」などと偉そうな口を利くことも許される(許されない)。
必然的に、周りも本人も「こいつはノッてる」判定を下し、放送席からも「今日の主役」認証が受けられるため、とりあえずこいつに打たせておけば間違いない的な空気が会場とお茶の間の双方において共有される。
即ちA崎のような選手に試合の最後、絶対に必要な3Pを打たせるシーンを誰もが思い浮かべる。
まさかB崎のようなヘタレ野郎に打って欲しいなどとは誰も思うまい。
B崎はマジでだらしない。
5本打って1本も入らないなんてほんとにプロかよ。
憤りも冷めぬままインターネットを巡回していると、興味深い記事が目に入った。
曰く、出現確率1%のガチャを100回引いても、4割近くの人は全部はずれる、というものだ
1%なんだから100回やれば1回は必ず当たるのでは?と不思議な気持ちで読み進めていくと、どうもそうではないらしい。
要するに、100枚のクジが入った箱の中に1枚だけ当たりが入っているような場合、100回引けば1回は確実に当たる。
だが引いたクジを毎回箱の中に戻して常に100枚の状態で行うやり方だと、「当選確率1%」を100回試みて1回当たる確率は約63%、実に37%の人は1回も当たらないらしい。
数学的能力をまるで育んでこなかった筆者にはわかったようなわからんような話ではあるが、とにかくキャッチーな話題ではある。
次に鍛え抜かれた課金兵に出会ったら、この悲惨な現実を突きつけてやろう。
まだ見ぬ屈強な戦士のメンタルをへし折る未来に心踊らせているうちに、ふと思い当たった疑問があった。
これはバスケットボールとも関連がありますか?
最初の舞台に戻ろう。
5本中5本の3Pを成功させているA崎は絶好調のお祭り男ではあるが、数字だけに着目してみるとちょっと不安になる事実が浮かび上がってくる。
平均して3Pを40%決める選手が、6本連続で成功させる確率はいかほどか。
体育会育ちで要領をえない脳筋に苦しみながらも、先のサイトで培った数学的知識を活用し計算してみたところ、0.4%。
つまり、チームが同点に追いつき延長戦に持ち込む確率は0.4%ということになる。
翻って今世紀最弱の負けドッグことB崎が6本中1本を決める確率を求めると、なんと95.4%という数字が叩き出された。
ほんと?B崎、神じゃない?