貴重なヘッドコーチ経験を糧とし、さらにキャリアを積み上げるチャレンジ(前編)より続く
成長できる絶好の場
ヘッドコーチとアシスタントコーチの両方を経験した穂坂健祐コーチに、ヘッドコーチの仕事について聞けば、「選手をマネジメントすることが一番大きいです。全ての責任があり、常にプレッシャーとの戦いでした」という。大阪エヴェッサでの貴重なヘッドコーチ経験を踏まえ、もう一度アシスタントコーチに戻って川崎ブレイブサンダースの門を叩いた。
「実は(2010-11シーズンに当時のリンク栃木)ブレックスでアシスタントスタッフをしていたときから、当時の東芝(※企業チーム時代の川崎)は憧れのチームのひとつでした。誰でもが携わることができない素晴らしいクラブだと思っていたので、そこから自分にチャンスを与えていただいたときはすごく興奮しました。ここでもう一度、アシスタントコーチとして勉強しながらも、これまで経験したことをしっかりと生かしてチームをレベルアップさせ、さらに自らのキャリアを積み上げていきたいと思いました」
穂坂コーチは「成長できる絶好の場」と川崎の環境を言い表し、佐藤賢次ヘッドコーチは二人のアシスタントコーチに対してチャレンジするチャンスを与えている。シーズン中は、対戦相手のディフェンスとオフェンスを大きく分けて分析しながら対策を行い、勝久ジェフリーコーチとともに分業してきた。今シーズンはさらに、「選手の育成を促したり、成長につなげるためにアプローチ」をするデベロップメントコーチの役割も担っている。新シーズンへ向けた今オフは、新たに移籍してきた前田悟(元・富山グラウジーズ)と綱井勇介(元・青森ワッツ)に対し、「例えば、川崎のカルチャーであるディフェンスの激しさや高い強度について、このチームはこれほどのレベルを求めていることをまず知ってもらいました」と、その入口に立たせる。そこからチーム全体に対して、「夏の間は本当に細かい部分を突き詰めています。他の選手たちとももう3年目になるので、川崎のクラブが求めるレベルを突き詰めなければ、優勝できないということをみんなが覚悟して、昨シーズンよりもさらに激しく練習から取り組んでいます」と現在進行形で強化している。
特に成長が見られる選手を挙げてもらえば、「全員同じように気にしています。彼らの良さを引き出すようにともに汗を流していますし、誰かひとりに絞ることはできないです。全員が昨シーズンよりも良い数字を残すというよりも、与えられた出場時間で最大限のパフォーマンスを出すことができれば僕は満足ですね」と自信を見せた。全員が健康にコート上で戦うことができれば一番良いが、長いシーズン中は何が起こるか分からない。「その中でもブレることなく、自分たちが目指す最終的な着地点に対して、みんなで真っ直ぐ前を向いて戦っていきたいです」と、悲願のBリーグ初制覇へと突き進むだけだ。