取材当初、「リバウンドに対するイメージがない」と難色を示していた藤井祐眞だったが、分かりやすく解説してくれた。ディフェンスの要であり、オフェンスの起点であるリバウンドに対し、ポイントガードとしてはチームメイトの特徴を生かすことを心がけている。前線からディフェンスでプレッシャーをかけ、ルーズボールに飛び込むハッスルプレーを武器とする藤井。川崎ブレイブサンダースで7シーズン、成長できた点を特定できないほど、多くのことを経験し続けてきた。
泥臭くプレーすることがチームのためになる
── 藤井選手自身がリバウンドを取ったときは、必然的にオフェンスへの切り替えが速くなります。4月10日の秋田ノーザンハピネッツ戦でも、第2クォーターにリバウンドから速攻を出して、一気に引き離しました。チームとしてリバウンドを取ったあと、ポイントガードとしてどんな準備を心がけていますか?
パブロ(アギラール)とJ(ジョーダン・ヒース)は、本当によく走ってくれる選手です。彼らがリバウンドを取ったあとでもメチャクチャ走ってくれるので、できるだけその強みを生かしたいと思っています。その強みを生かすことができれば、相手もビッグマンが一生懸命に戻ろうとするので、セカンドトレーラーとして入って来たニック(ファジーカス)がオープンになるシーンも多くなります。僕は、味方がリバウンドを取ったあとにボールを受け取ったら、なるべくボールラインを下げるように意識しています。プッシュしたり、ボールを前に飛ばしたり、できるだけボールラインを下げることで、Jとパブロのリムランが脅威になります。リバウンドを取ったあとはスピーディーにオフェンスにつなげるように意識はしています。
── ディフェンスの要であり、オフェンスの起点となるリバウンドに対し、「チームルールがある」と佐藤賢次ヘッドコーチは言っていました。言える範囲で、川崎としてはどのような取り組みを行なっているのでしょうか?
一番は、ショットクロックのギリギリまで良いディフェンスをして、相手にタフショットを打たせます。グッドディフェンスであっても、相手にリバウンドを取られてしまえば、もう一回相手のオフェンスになってしまいます。ディフェンスリバウンドをしっかり取るまでがチームディフェンスだと考えています。練習中にオフェンスリバウンドを取られるケースが多くなれば、コーチ陣から修正されますし、ゲーム内でもリバウンドの重要性はかなり意識しています。チームとしてオフェンスリバウンドが多い相手と対戦するときは、リバウンドの練習が特に多くなっています。
── ルーズボールに飛び込むなど、ハッスルプレーが藤井選手の大きな武器です。身長差がある中でも飛び込んでいくプレーに怖さはないのでしょうか?
もともとドライブが好きで、攻めることが好きでした。あまり怖がらずに攻めて行くタイプです。拓殖大学時代、三遠(ネオフェニックス)の鈴木(達也)選手のディフェンスがすごくて、それを見てからその重要性を知りました。東芝のときからこのチームに加入し、何が自分の強みや武器なのかを考えたときにハッスルプレーが最初に浮かびました。リバウンドやルーズボールに飛び込んで、僕らのポゼッションを少しでも増やすためにも泥臭くプレーすることが、一番チームのためになるかなと思いました。それが自然と身についてきた感じです。
── チームへの好影響とともに、ハッスルプレーが藤井選手自身のパフォーマンスにはどうプラスになっていますか?
例えば、ラインを割りそうなボールに対して必死にダイブしてボールをつないで、その後にチームメイトがボールを拾って得点につなげてくれたときが一番うれしいです。飛び込んでよかったと思います。逆に、飛び込んだことでミスにつながったときは、悔しい思いもあります。でも、得点につながったときは気持ちも上がりますし、自分としても元気が出て、さらに戦う気力が湧いてきます。